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数か月間、眠り続けていたリリエルは、

イザマーレと人間界で出逢った頃の夢を見ていた……

いつも自分を励まし、見守り続けてくれた愛しい悪魔の歌声

幸せな気持ちで溢れていた

振り返れば、いつも優しい光……


「……閣下……」

「……っ」


ようやく目覚めたリリエルに、

涙で言葉が出ない夢幻月詠


イザマーレの涙に、心が抉られる


「っ…泣かないでください、閣下……」


「お前が目覚めた時、かけてやる言葉をずっと考えていたが……

吾輩に言霊を使わせない女は、お前だけだ、リリエル……」


イザマーレは嬉しそうにリリエルを抱きしめる

リリエルとイザマーレは見つめ合い、深く口唇を合わせた。

今までの時間を取り戻すように…

ゆっくりとリリエルを押し倒し気が済むまで愛し合う…

お互いの愛を確かめるように…




 

夜も眠れないほど、胸を締め付ける思い

もう二度とこんなに誰かを愛せはしないだろう


吾輩とお前で、どれほどの夏を駆け抜けたのだろう

焼ける陽射しの中、涙も心も解けて

人間界でお前に再び出逢えたのも、ちょうど今頃だったな

もう一度生まれ変わっても、きっと出会えるのだろう

 

リリエル…お前が好きだ……



この愛を吾輩も信じる

この想いは決して消えることはない


必ず超えて行ける。この先も永遠に……


吾輩の腕の中で無邪気に微笑むリリエル

お前を守り続けたい

いつまでも……



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