top of page


……リリエル


吾輩に愛を教えてくれたのはお前だったな

心の荷物を静かに降ろせる場所


お前と出会ったあの瞬間から

いつか刃を向けなければならないと思い悩んだ日々

無意味な遠回りを繰り返したのも、

己の宿命に抗い、どうにか回避させたかったからだ…


リリエル…あの優しかった花は今も

変わらず吾輩を待ってくれているだろうか

最後まで笑顔で、何度も吾輩に愛を示してくれた


この吾輩の涙を拭ってくれる

お前の指先を待っている

だから、早く目覚めて吾輩を見ろ


過去の痛みが教えてくれたのは 

そこにある悲しみだけじゃない

かけがえのない思い出をいつまでも

胸に咲かせながら……


リリエル……

吾輩のこの涙をお前に……

再びお前の笑顔が咲き誇ってくれるように


目覚めたら、もう決して離しはしない

その日まで、お前を待っているから…


今すぐにでも起き出しそうな、

穏やかな表情で眠り続けるリリエルに

イザマーレは毎日、寄り添い、その名を呼び続けた……



閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

すべて表示

季節は巡り、二度目の春を迎えた ウエスターレンは一魔、 プエブロドラドに植えられた桜の木を眺めていた その表情は、とても優しく穏やかだった そこに現れる影… 「…おかえり、イザマーレ。そしてリリエル。 待っていたぞ♪」 イザマーレがリリエルを髪に乗せ...

喝采と悪戯

イザマーレとリリエルが居なくなってから、ダイヤは奮闘していた。 ダンケルが公務に支障がないよう動いたり、 ウエスターレンの心情を考え、 出来る限りダイヤがダンケルの護衛にも当たっていた。 ちょうど儀式から1年半が過ぎた頃… 公務の護衛や自分の仕事に終われ...

秋が過ぎ、冬が訪れても リリエルの魔力は完全には回復しなかった 副大魔王の力をもってすれば、エナジー注入により あっという間に回復させられそうなものなのだが… 「…閣下、本当に申し訳ありません。私のせいで…」 イザマーレは少し目を反らしながら...

Comments


bottom of page