季節は巡り、二度目の春を迎えた
ウエスターレンは一魔、
プエブロドラドに植えられた桜の木を眺めていた
その表情は、とても優しく穏やかだった
そこに現れる影…
「…おかえり、イザマーレ。そしてリリエル。
待っていたぞ♪」
イザマーレがリリエルを髪に乗せ
ウエスターレンの前に現れたのだ
すぐさま見つめ合い、抱き合う2魔
「長官、お待たせしてしまって申し訳ありませんでした」
リリエルは微笑みながら、ウエスターレンに詫びる
「フッお前らの願いは、俺の願いでもあるんだ。気にするな」
ウエスターレンもリリエルの髪を撫でる
長い間、ウエスターレンは邪眼を駆使し
イザマーレたちを見守り続けていたのだ
リリエルが目覚めてからは、
映像を見ることだけは遠慮したが
2魔のやりとりは漏れなく聞き続けていた
イザマーレの涙は、ウエスターレンの涙であり
リリエルの願いは、ウエスターレンの願いでもあった
イザマーレに触れあえず、寂しいどころか
愛しい思いが強くなるだけだった
「ただ…お待たせしてしまったにも関わらず
瞬間移動だけはどうしてもできるようにならなくて…」
不思議そうに首をかしげるリリエル
「リリエルには必要ない能力だからな。
お前が出歩く時は必ず吾輩が髪に乗せてやるんだから
支障はないだろ?」
「は、は~ん、なるほどな(笑)」
イザマーレの言葉にウエスターレンは含みを持たせるが
リリエルは全く分かっていなかった
(お前が吾輩の手をすり抜けて、行き先も告げずに
瞬間移動するような真似は二度とさせるものか(怒))
さてその後、
情報局の管理下にある情報誌が発行された
そこには
「お妃さまの目覚めに、言葉を詰まらせる夢幻月詠!」
「お妃さまを救った副大魔王様に、チューのご褒美!」
「扉の消えた期間、最長記録達成!!!」
などなどなど…
魔界中の人気者である2魔の記事に
情報誌はベストセラーとなり、
魔界中の悪魔が読み続け、
果ては、映画化までされるようになってしまった
情報誌に夢中なおかげで、無用なトラブルはさらに激減し
魔界は平和な日々が訪れていた
その背景には、やはり赤い悪魔…
「やっと戻ってきた俺様とイザマーレの時間。
誰にも邪魔されず、愛し合うためには
飴も与えてやらないとな♪」
「ふふっ長官ったら(笑)
閣下のことをよろしくお願いしますね♪」
リリエルはご満悦だ。
情報誌の売り上げまでイザマーレに負けてしまったダンケル
「ふん!…まあいい。ダイヤ!分かっておるな?
当然奴らの最長記録だけは塗り替えねばならぬぞ」
「…勘弁してくださいよ、陛下…」
とドン引きするダイヤだった
Fin.
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