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ようやく目を覚ましたリリエルと愛し合うイザマーレだが

気がかりなことがあった。

自身が理性を失う前に抱いていた、心の不安


「リリエル、吾輩は今でもお前にとっての王子の役目を

果たせているだろうか……」


「!!」


(まさか……今回の原因を作ってしまったのは

私自身だったなんて……)


リリエルは迷わなかった

イザマーレに抱きつき、自ら口唇を合わせた……


イザマーレは驚くが、微笑み、より深い口づけで応える

心のわだかまりが消えていく……




 

出会った日と同じように、霧雨煙る静かな夜

目を閉じれば浮かんでくるあの頃の日々


いつも躓き、傷ついてばかりだった私を

必ず優しく抱き止めてくれた

閣下の温かいぬくもり


キャンドルを灯すようにそっと育てていた

静かな愛がはじまりでしたね。

形のないこの想いは

今はもう消すことができません


溢れるほどの想いが零れてしまう前に

閣下の心の痛みは、私にお預けください

どんな時も肩を寄せ合い、

一緒に同じ道を歩かせてください


いつまでも髪に乗せてくださると、

誓ってくださったあの日の約束

忘れていません。心配なさらないで。

私はいつも閣下の事だけを見ています




 

強大すぎる魔力のために、背負い続ける孤独

泣きたいほど傷つき、肩を落とす時には

貴方のその痛みも、私が受け止めて差し上げたいのです

だからどうか、誰よりも素敵な笑顔を

ずっと私に見せてくださいね


閣下…抱きしめてよろしいですか?

貴方への想いがこみあげてくるのです

この愛こそが、いつも私に力を与えてくれるのです


閣下の孤独を、少しでも癒せるように

リリエルはいつもお傍におりますから……








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