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周囲の戸惑いをよそに

リリエルと雷神夫妻の間に、静かな空気が漂う


雷帝妃は笑顔を浮かべて、リリエルを抱きしめる


「リリ……あら?何かに思い悩んでるのかしら?

心に鍵をかけてるのね。」


「!/////お母様……」


驚いて見つめるリリエル

雷帝妃は優しく微笑んで、手を握る


(……)


心の鍵を解放され、リリエルは涙を流し始めた


「たまには良いではないか。お前にも悩みはあるだろう。

だが。イザマーレ君は見上げた悪魔だよ。非の打ち所がない。

迷った時は、遠慮なく彼に甘えればいい。

彼ほど、頼りになる男は居ないだろ♪」


リリエルの様子を見守っていた雷神帝は

豪傑に笑いかけ、リリエルにウィンクする


「そうよ、リリ。自信を持ちなさいな。」


「…はい。ありがとうございます。お父様、お母様……」


泣きはらした目で笑顔を浮かべるリリエル


その様子を、そっと見守っていたイザマーレ


(……なるほど。そういうことか……)


リリエルが心の奥深くに鍵をかけ、隠し続けた悩みを

すべて理解したイザマーレ。静かに、笑みを浮かべていた


そして


リリエルと初めて出会った時の事を思い出していた




 

かつて「始まりの場所」で、

言霊を操り歌にして遊んでいたイザマーレ


それは、今のリリエルと同じ悩みを、

何とか紛らわそうとしていたのだ


夢幻月詠


それは、才のないものに言わせれば誰もが羨み

憧れ、称賛される能力 だが…


強大すぎる故に、その影響力は計り知れず、

つねに己を律し、制御し続けなければならない


想像しきれないほどの孤独と引き換えに……


その孤独を誰よりも深く理解し、慰めたのが

リリエルとウエスターレンだ



そしてリリエルもまた、

同じ孤独に苛まれ苦しんでいるのだと……



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