数日前の出来事……
リリエルは魔界の市場に買い物に来ていた。
イザマーレとウエスターレンの好みの食材を探しに…
市場は悪魔達とプエブロドラドの民衆が多く賑わっていた。
魔界の貿易港は雑多で危険も伴うが
王都近くの市場なら、ウエスターレンの目が届きやすく
リリエルが単独で動ける場所として、イザマーレも許可していた
「あ、あの、副大魔王妃様」
「あら?あなたは……」
リリエルに話しかけてきたのは、
かつて王室建設の現場にいた下っ端悪魔だった。
「どうもすんません、声をかけちゃって。
あれから心を入れ替えて、
何とかバサラ様の軍に入隊出来たんですけどね……」
申し訳なさそうに話し始めた。
ウエスターレン軍やイザマーレ軍の精鋭さに比べて
どうも緩い空気なんだと……
そして、どうも見ていて戦略に欠けているようだと。
さらに別の日には、
たまたまバサラの居る部屋の扉が開いていたらしく
戦略を練っている途中で
『あ~決まんねぇな!ウエスターレンや閣下の軍がいるから
助っ人の形でい~んじゃね~?』と
1魔で呟いて戦略書を投げているところを見たというのだ
「いや、こんな事言いたくないんですけどね、
こんなんじゃ、いつかお妃様や副大魔王様に
ご迷惑になってはいけないと思いましてね」
「そうなのですね…分かりました。
お話してくださって有難うございます」
リリエルは微笑んで言った
屋敷に戻ったリリエルは
市場で会った下っ端悪魔の話をイザマーレに伝えた。
イザマーレは腕を組み、目を閉じて聞いていた
「魔界が平穏過ぎるのも、考えものですね。
ごめんなさい。閣下…
でも戦争が起これば、多くの犠牲を伴います
今までの生活にはなかなか戻れない…
だからと言って、いざという時に動けないとしたら、問題ですよね
参謀を何とかしないと、と思うのですが…」
躊躇いがちではあるが、はっきりと伝えるリリエル。
「なるほどな。…ではリリエル、この案はどうだろう?…」
イザマーレはリリエルに話した。
「…!…それなら大丈夫ですね♪」
リリエルは嬉しそうに抱きついた
バサラを叩き上げる為の壮大な計画が練り上げられた瞬間だった
コメント