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別れ


いつも口喧嘩を装い、繰り広げていた会話の端々から

スプネリアに対する思いが湧き上がり

ある曲を仕上げたラァードル


そこへ突然、魔法陣が現れ、ベルデが姿を見せた

「やあ、ラァードル。久しぶり」

「…!?」


「君のそのメロディとリズムのお陰で

ようやく居場所が分かったんだ。

ありがとう。戻ってきてくれ。ラァードル。

イザマーレが君を求めているから…」


「…! サムちゃんが? 何かあったの??」

瞬時に全ての記憶を取り戻したラァードル。


「ダンケルの号令の下、人間界で布教活動を行うべく、

バンドを結成することになったんだ。

リズムの要として、イザマーレは誰よりも君を望んでいる。

どういうわけか、それをイザマーレ以上に

ウエスターレンが強く推薦しているんだけどね…」


のんびりと話すベルデと連れ立って魔界へ戻り

イザマーレと再会する


「ラァードル、久しいな。今回は急な事で申し訳なかった。

最高魔軍として共に活動に加わってくれ。」


「サムちゃん…もちろんだよ。サムちゃんがここに居るってことは

リリエルちゃんとも上手くいったんだろ?」


握手を交わしながら、飄々と話すラァードル

だが、イザマーレは静かに微笑むだけだった


「いや…リリエルはまだ、ようやく物心ついた程度だ。

吾輩の存在にすら、まだ気づいていない。

地球征服本活動中にリリエルを呼び寄せることは難しいだろう。

だが、教典を通じて語りかけることはできる。」


「!!…そうか。じゃあ、絶対にどでかい事して

成功してやらないとね!」




 

リリエルのことを話題にしながら

ラァードルの脳裏を掠めるのは

人間界で別れたままの彼女、スプネリアのことだった


「ラァードル?」


ラァードルの惑いを感じ取ったイザマーレが心配そうに見返した


「あ、ううん。それより、どうなのよ!リリエルちゃん。

向こうは分かってなくても、いつも傍に行ってるんでしょ?」


突然コロッと表情を変えて、からかい始めたラァードル


「どうって…」

言葉に詰まるイザマーレ


「またまたあ!いいじゃん、隠さなくったって~。

教えてよ。見た目とか、何も変わってないの?」

ニヤニヤしながら問い詰めるラァードル


「見た目って…まだ小学生だぞ!!

だが…可愛いに決まってんだろ!///」


真っ赤になって照れながら、断言するイザマーレが愛らしくて

ラァードルも笑顔になる

そこへ、ウエスターレンが近寄ってきた


「おい、お前ら。そろそろ音合わせするぞ。ラァードル。お前も

人間界で恋のお相手が出来たんじゃないか?(笑)」


ニヤっと笑いかけるウエスターレンにも

ラァードルは飄々と笑って見せる


「…もしそういう相手ができたら、

絶対、あんたらと、リリエルちゃんとの関係を

参考にさせてもらうからな!!」

そう言い捨てて、ドラム椅子に座るラァードル


「…ウエスターレン」

やや気がかりな顔を見せる

イザマーレの髪を撫でるウエスターレン

「大丈夫だ、イザマーレ。心配するな。

お前はリリエルの事に集中しろ。分かったな?」


…その後結局、

本活動中にミサ会場でリリエルに再会することは

果たせずにいたイザマーレ


一方、信者になっていながら、

ミサ会場に行くことのなかったスプネリアに気づく事なく

ただひたすら、イザマーレを支え続けたラァードル。



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