副大魔王執務室に王室からの伝令が届いたのは、
リリエルとウエスターレンの3魔で談笑しながら朝食を済ませ、
リリエルが朝の家事タイムに突入し
ウエスターレンと共に2階に上がり
それぞれの仕事部屋に入った時だった
「…陛下からのお呼び出しだ。出かけてくる。
ウエスターレン、リリエルをよろしく頼むな。
リリエル!行ってくるぞ」
「あ、は~い♪行ってらっしゃいませ♪」
キッチンから顔をのぞかせ、笑顔のリリエルを見てから
足早に魔宮殿に向かう
…相変わらず広い魔宮殿を
マントをたなびかせ早歩きで進む
副大魔王は走らない。
通常、ダンケルから呼び出しを受けると、
謁見するまでの間に、あらゆる事を想定しておく
副大魔王の辞書に「想定外」という文字はないのだ
今回も例外ではなく、足を一歩踏み出した段階で
思い当たる事はただ一つ
(……そろそろ、限界ということか……)
とてつもなく嫌な予感
気のせいであればいいが……残念ながら予感は的中
……時折、自身の魔力そのものを恨みたくなる
……それで、何だって?……なぜそうなる?
憂いや恨み言、積もれば塵となり雁字搦めに陥るが
それでも今、吾輩の傍にはリリエルがいる。
屋敷に帰りさえすれば、いつでも心は穏やかだった
それにしても…ため息だけはどうにもならない。
そして、その少しの憂いを見過ごさないのが
リリエルとウエスターレンだ。
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