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契り


悪魔として甦らせる儀式を終え、数日後に目を覚ましたリリエル


「……閣下……?」

吾輩を見て、ホッとして微笑むリリエル


「おかえり……リリエル」

握っていた手の甲に口づけをする


この言葉を伝える為だけに、どれだけの時間を要したのだろう

リリエルから感じる魔力に、感動を抑えることができない


「…私…?」

「人間としての天寿を全うし、悪魔として目覚めたのだ。」


「!」


「こんなにも早く、この日を迎えることになるとはな……

リリエル、大丈夫か?お前が望むなら、

しばらくの間、娘たちの傍に居ることもできるぞ」


唯一、気がかりだったことを確認する吾輩に

リリエルは微笑んで見せた


「…ありがとうございます。

家族のことなら、心配いりません。

閣下に記憶を戻していただいてから、いつか来るこの日の為に

出来る限りの準備は済ませてありましたから…」


「…悪魔教の教えを守ったのだな?さすがだな」


「…一度でも会いに行けば、名残惜しくなってしまうもの……

愛しさに限りはないですから……それならここで

お別れをさせてもらいます。ただ……人間界にある荷物だけ

取りに行かせていただいてもよろしいですか?」




 

リリエルの髪を撫で、微笑む


「もちろんだ。吾輩も一緒に行こう。だが、その前に…」

口唇を重ね、抱きしめる


「本当の夫婦になってくれるか?リリエル…」


「////////……はい…リリエルはいつまでも、閣下のお傍に…」


泣きながら抱きついてくるリリエルに微笑み、

もう一度、深く口づけし合う…




しばらくすると、突然ある事を思い出し、慌てるリリエル

「…あれ?…!お約束していた2週間って…

過ぎちゃいましたか……?」


「そんな事、覚えていたのか?

…まあ、とっくに過ぎてしまったな(笑)」


「そんなぁ…せっかく閣下が頑張ってくださっていたのに…」

しょんぼりと俯くリリエルに、微笑むイザマーレ


「気にするな。お前との儀式は休暇にはカウントされない

お前がその気なら、今から数週間、人間界の屋敷で過ごすか?」


「キャー(≧∇≦)♪♪嬉しいです!」



喜ぶリリエルと一緒に人間界の屋敷に行き

イザムの姿に変身してからリリエルの部屋まで送り届ける。


「最期の時間くらい、静かに過ごせ。少ししたら、迎えに来るから」



リリエルが部屋に入り、身辺整理をしている間、

吾輩はとある場所に訪れていた



 

「いらっしゃいませ、こんにちはー……!」

「……エスプレッソをひとつ……席は……満席のようだな

すみませんが、店の外で待たせてもらっていいかな?」

「……かしこまりました。」


店の外で、目立たないように待っている吾輩の元に現れた店員……

リリエルの結婚相手だった


「あいつは……リリエルは、あんたの所で笑っているのか?」


「…心配ない。」


「俺も、娘たちも、リリエルはやっと

幸せになれたんだと思う事にしている。

何度も他人の身体を乗っ取りやがって。

俺が気がつかないとでも思ったか?」


「…(笑)すまなかったな。だが、

お前も良い思いが出来たんだから、悪く思うな」



「それで?俺の事は処刑しないのか?」


「その必要はない。

お前たち家族の事は吾輩が責任をもって守り抜く。

リリエルのことを、これからも忘れずにいてやってくれ。」


「…分かったよ。悔しいから、

悪魔教にだけは入信してやらないけどな。

あいつの事を、よろしく頼むな」


「…コーヒー、ありがとな。またな……」



……

コーヒーショップから戻り、部屋の前でしばらく待っていると

リリエルが出てきた



 

「?…何も持ってこなかったのか?」


「えへ♪閣下のグッズとか、大量にあって困っちゃいました。

でも…すべての大事なものは、あの部屋にこそ相応しい。

そんな気がして……閣下とツーショットになれた写真と、

あと……家族の写真も…一枚だけ、良いですか?」


「もちろん、構わない。あとは、もういいのか?」


「はい…あれ、閣下、コーヒーの香りが…」

「お前を待っている間、暇でな。ちょっと寄り道してきた」


「……ふふっ、閣下。ほんとうに、ありがとうございます。」

微笑むリリエルに、吾輩も笑顔になる


「そろそろいいか?戻るぞ」

「はい♪」




 

人間界の屋敷に戻り、シャワーを浴びながら本来の姿に戻る


リビングに行くと、窓から夜空を見上げるリリエル


「リリエル…?」


「…いつも、この場所で星を眺めるのは、悲しかった…

夜になったら、帰らなければいけなかったから…」



リリエルを後ろから抱きしめるイザマーレ


「もう、どこにも行かせない。吾輩だけを見ろ。

何も心配はいらない。良いな…」


ゆっくりと口唇を重ね合わす

舌をからめ、深く貪りながら、脱がせていく

首筋に舌を這わせ、胸をまさぐる

蕾を口に含み、舌で転がす

「あっ…あん…んんっ……」

必死にしがみつくリリエルにキスしながら

抱き上げ、ベッドに横たえる

「相変わらず感度のいい身体だな。もっと啼け…」

体中に赤い刻印をつけながら、

濡れている入り口を指でなぞり、密を味わう

快感に身体を震わせ、嬌声を上げ続けるリリエルを抱きしめ

朝まで愛し合った


翌日も、その次の日も

キッチンやリビング、シャワールーム……

至る所でリリエルを可愛がるイザマーレ


これまでの永すぎる年月を埋め合わせるかのように……




 

数週間後、魔界の屋敷に戻ったリリエルは、驚いた


これまでリリエルが使っていた部屋が様変わりしていたのだ

人間界で暮らしていた部屋と同じに……


「///っ、閣下……」


びっくりして振り返るリリエルに、照れたように笑うイザマーレ。


「お前が一番過ごしやすい内装にしてやろうと思ってな。

あと、キッチンも変えてみた。使い勝手の良い、

今までの形が、一番良いだろう?」


「////////」


「お前が居るなら、使用魔は不要だから、常駐はさせない。

ただ、お前の補助ができるよう、離れに住まわせるから

安心しろ。管理はお前に任せる」


「!……かしこまりました…」


「では早速だが…お茶でも淹れてもらおうか?」


「はっ、はい!今すぐ…お待ちくださいね♪」


パタパタとキッチンに駆け込んでいくリリエルを

にこやかに見守るイザマーレ



それからリリエルの部屋で、もう一度向かい合う

「リリエル、改めてお前に話しておくことがある。

お前はこれから、吾輩の妻として生きていくことになる。

つまり、副大魔王の妃という称号が与えられる。」


「////////」




 

「だが、変に畏まる必要はない。お前はいつも、そのままでいい。

ただリリエルの悪魔化に関しては、ベルデが協力してくれてな。

吾輩の妻にふさわしい魔力を用意してくれた」


「!…えっ、魔力って…私、何かできるんですか??」

無邪気に驚くリリエルに、吹き出しそうになる


「…そうだな、じゃあ今夜、お前が食べたい料理を思い浮かべて見ろ」

「え?う~ん…」


「声にするんじゃないぞ。思い浮かべるだけだ」

「はい…」


その途端、目の前にディナーが出てきた


「!!!?!?!」


「ぷっ…クックッ……」

「あ///もう~!笑わないで~」


「じゃあ、リリエル。今夜、お前が望んでる格好を思い浮かべて見ろ」


ポンっ


「////////」

シルクのネグリジェ姿に変わり、真っ赤になるリリエル


「…今夜、一緒に寄り添いたいのは誰だ?声に出さず、思い浮かべろ」


ポンっ


「!きゃあああああ////」


その途端、リリエルは吾輩の膝の上に腰掛けていた



逃がさず抱き寄せ、耳元で囁く

「あれだけ可愛がってやったのに、まだ物足りないのか?

では、遠慮なく喰わせてもらおうか…」

口唇を重ね、押し倒す。

そして、そのまま愛し合う…




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