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序章


銀河に浮かぶ太陽系


美しく青い第3惑星を統括する者たちがいた

豊かな自然に恵まれたその星

地に根づき、闇の中で切磋琢磨し合う彼らは

押し並べて強い魔力を持ち、生命の行く末を厳格に裁き

ある時は破壊し、ある時は再生を促す役割を担う

彼らを総称して悪魔と呼ぶ


ある時、銀河に発生した2つの意思

1つは最大級の光を有し

もう1つはその破壊力から

正確な強さを測定不能とされる紅蓮の炎


2つの意思は互いに惹かれ合い

心の中に居場所を求め合うことで

均衡が保たれていた


ある時、光の意思は、闊達に動き回る自由を求め

魂を手に入れる代わりに大悪魔という宿業を背負い

幼子の姿で時空を彷徨い始める


やがて、第3惑星に居心地の良い闇を見出し

発生の産声をあげる


黄金の髪を天高く逆立たせ、澄んだ瞳はキラキラと輝く

誠に美しい姿で顕現する

魂に宿る光のオーラから、イザマーレと名付けられる


魅惑の声を持ち、その声で発せられた言葉すべてに霊が宿り、

夢幻月詠としての才能を幼少の頃から開花させていく




一方、紅蓮の意思は、イザマーレを護る役割を自ら選び、

同じ道を歩む。その名もウエスターレン。

イザマーレの居場所を見つけ出すため

邪眼とゲヘナを彷彿とさせる炎を自在に操り

常にイザマーレの背後に寄り添う


彼らの動きを興味深く眺めていた存在。それが、雷神帝だ。

第3惑星の雨雲を司る雷神は、

星のまわりを支配し、自らに似せて作り上げた知的生物だけを

依怙贔屓し、その命すらも軽薄にもてあそぶ天界を注視していた事もあり

同じ頃に産声をあげた愛息子ラァードルの預け先を、イザマーレたちのいる

魔界にすることで、この世のバランスを保持させようと決断する



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