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心映


その後、リリエルは珍しく校長室で一魔、デスクに座り込んで

当時の事を思い返していた


元老院の裏庭に、

ウエスターレンと共に訪れては愛し合うイザマーレを

微笑ましく眺めていたあの頃…


かつて、魔界と天界の勢力図が怪しくなり

この世のバランスが崩れそうな危機があった

事前にその危険を察したイザマーレが

屋敷の3階にある、あかずの扉から密かに天界へ潜り込み

自らの魂の一部を切り離して天使に生まれ変わらせた

言霊で命を宿した天使は、瞬時に大天使に姿を変えた

それがミカエルの正体だ


魔界に戻った後も、ウエスターレンとの仲は相変わらず

元老院の裏庭に訪れては愛し合う彼ら

だがその頃から、イザマーレが心の底で抱きながら

己を律することで耐え忍ぼうとする苦悩を

リリエルも感じ取るようになったのだ


それは、イザマーレ自身が、かつてウエスターレンに愛された

元の完全なイザマーレではないという事

だからといって、心から愛するウエスターレンを手放せずにいる…


そんな事を危惧する暇もないほど、片時も離れず傍に寄り添う

そんなウエスターレンに安堵しながら

いつか、自分から離れていくのではないかという

不安を抱きながら、必死に押し隠すようになったのだ


もしも叶うなら、自分がその心の隙間を埋められる

そんな存在になってあげられたら……


そんな事を思う内に、

心の底からイザマーレを愛するようになったのだ



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