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怒り

魔界の昼下がり。

たまたま構成員は仕事も一段落ついて久々のランチを楽しんでいた


「あれ?イザマーレは?」


ベルデが集まっている構成員の所に行き座りながら言った。

イザマーレからランチをしようと誘われたのだが本悪魔がいない


「あれ?先程まで一緒だったんだが…?あいつ何処へ行った?」

ウエスターレンは煙草を吸いながら当たりを見渡す。


「どうしたのかねぇ?」


ベルデも見回したが居ない。先に食べちゃおうと話ながら数分後…

急に爆音と共にイザマーレが魔法陣から姿を現した。

大抵怒ってる時の姿の表し方に、大筋を把握したウエスターレン。


(やれやれ…リリエルがらみか。)


「どうしたの?イザマーレ?遅かったじゃん」

バサラはおにぎりをモグモグ食べて聞いた


「…何だぁ!あいつは」


「?!イザマーレどしたの?イラついて?」


「吾輩は今からこいつの所に行って処罰してくる!リリエルを泣かせおって!」


机に叩きつけて置いた1枚の紙…話を聞くと、

ある人間がリリエルを泣かせたらしい。

イザマーレの怒りは最高潮に達している。



 

「わ、分かった。とにかく落ち着いて!

そいつのことは俺らが何とかするから、

とにかく閣下は、彼女の傍にいてあげて」

バサラとベルデはなだめて言った


「無論そうする。ウエスターレン!行ってくるぞ!!」


「了解…とにかく暴走するなよ?」

ウエスターレンは釘をさすが、イザマーレは既に魔法陣で消えていた


イザムの姿になり、人間界へ来たものの…

泣いてると分かっているリリエルと会える手段が乏しく悩んだ。

何しろ、彼女は言霊が効かない。

泣いているときに魔力で呼び寄せることはできないのだ。

しかも、イザマーレに頼ってはいけないと

我慢し続けるリリエルの想いが伝わる。


どうしたら良いものか…と悩んでいたが、ふと思いつき移動した

久々の休みで自宅でのほほんとお茶を飲んでいたダイヤ。

そこへ真っ黒い封筒がダイヤ宛に届き中を読み慌てて用意をし始めた。

そこにイザマーレが現れたのだ


「あ、閣下!丁度良かった!すぐに用意をするので~待っててくださいね」

ワシャワシャと慌てて用意をしてる様子を見ていた。

「いや、迎えに来たわけじゃないんだが…」

イザマーレは首を傾げた

「何ですと~!私はてっきり迎えに来たのかと…」


イザマーレに黒い封筒を渡した。宛名にはダイヤと書いてあり、

かなりの魔力が手紙に込められている…この魔力って…

裏には『FROM DANKEL』と書かれていた

イザマーレは顔を引きつらせる

「……陛下から!?何故!」



 

「ちょっと私がお手紙出しましてね。返信が来たわけです。」

イラッとした顔で話すダイヤ。

「いやいや…待て!陛下に連絡を取れた!?どうやっても無理だろ?

リリエルと違って髪に座ってる訳じゃないのに!」


「…実は…閣下が人間女性の夢を叶えてやろう!キャンペーンで

私の所に来てくれた後、私が寝ている時に、

陛下と一緒に私の部屋にきましたよね?」

ダイヤは真っ赤になりながら言った


「キャンペーンって訳じゃないんだけど…」

イザマーレも目を反らして呟いた。


「その後、陛下も気に入ってくれたようで

私の所にたま~に遊びに来る様になりまして…

その時に目玉蝙蝠も頂いたので連絡は取れるんですよ」

ニコニコして言った。


「…で?」


「陛下に有ることを聞いてもらい判断してもらおうと伝えたら

即魔界に来いとの連絡頂いたので。用意をしていたのですよ。

あ!因みに魔法陣取得しましたから~!陛下に叩き込まれて覚えました~!」

嬉しそうにダイヤは言いながら用意を進めている。


イザマーレは頭を抱えた。

まさかそこまでダンケルに気に入られてるとは思っていなかったのだ。


ダイヤは手を止めた

「で?閣下はどうされたのですか?リリエル様の所に行くのでは?」


「…その事でお前の所に来たのだ…」


「?」



 

「泣いてるリリエルを吾輩の魔力で呼び寄せることができない

どうしたら良いものか…」


「…やっぱり…」

ダイヤの顔が険しくなった。


「まさか…ダイヤ…陛下にお会いするって…」

イザマーレは血の気が引いた


「…そのまさかです。もう閣下はご存知なんでしょ?

リリエル様が泣いている理由。もう私達もお手上げ。

大魔王陛下に判断して御達し頂いてもらった方がいいからです。」


「いやいや!陛下は吾輩に任せろ!」

イザマーレは焦って言った


「いやいや…もう陛下に即魔界に来いって仰ってるのに

行かなければ無礼に当たるので。

それに内容も話してますので。」


ダイヤはやることを決めたら動くタイプだった。


「……」


「…私が陛下にお話した事ですから。

それに閣下も人間界に来たのはリリエル様を慰めに来ただけではないのでしょ?

それなりの考えで来られたのは分かりますから…

閣下も陛下の所へ参りましょう。判断して頂いてからでもおそくないのでは?」

ダイヤはにこやかに言った。


イザマーレも少し考えていたが頷いてダイヤと魔界に行った



 

魔宮殿に着いた2名はダンケルの部屋に通された。

「待っていたぞ。おや、イザマーレ…どうしたのだ?」

ダンケルは王座からイザマーレを見てにこやかに言った。


「いや…その…陛下がダイヤと連絡取ってるとは思いもよらず…」

イザマーレは言い辛そうに呟いた

「で?心配になり一緒に来たと…」

クスクス笑うダンケルに、イザマーレも戸惑っていた


「陛下、私がワガママを言ってついてきてもらったのです。」

「そうか。で?ちゃんと自分の力で魔法陣作ってここに来れたのか?」

「はい!問題なく!」

ダンケルも頷いて満足そうだった。


「…ダイヤ、本題に入るが…」


「…はい。陛下…どうしたらいいのでしょうか?

我々人間同士の問題で陛下にお手間掛けさせるのは心苦しいのですが…

何せ…手に終えなく…ご判断や処罰を決めて頂きたいのです」

ダイヤはダンケルの目をしっかり見て言った

「…そうか…」

ダンケルは目を閉じ考えていた


「…イザマーレはリリエルが泣いてるのが許せないのだな?

それに、そいつはお前たちの仲魔か…」


ダンケルは全てお見通しだった。イザマーレも頷いた


「…私は仲魔が何よりも大切です。

しかし…彼女は助けてもらった方や心配してくれる人にまで、

不愉快な思いをさせるのです。何度も言っても分かってくれず…

再び突っ走り壁にぶち当たったら助けてと泣きついてくる。その繰り返しで…

陛下…私は彼女の事は見放しました…残念ですが…」



 

「それで良いのではいか?ダイヤ…

いつまでも構っていたら彼女は成長もしなければ

甘えてばかりで大切な物に気付かない…

人間は孤独になってから初めて色々気が付く生き物だ。

大切な物を失った時にね…遅かれ早かれ…気が付くはずだ」

ダンケルは優しく言った。


「後はイザマーレが其奴に対してどう思い動くのかは

お前に任せるが…暴走するなよ?良いな?」


「御意…仰せのままに…」

イザマーレは頭を下げた




「そうだダイヤ、お前がリリエルの所へイザマーレを連れてってやれ。

何やら呼び出せないみたいだからな。そしたらまたここに戻っておいで。

今日はこの後行事もないから相手になってやろう」

「御意。また後程戻って参ります」

ダイヤは笑顔で言った。


そして、イザマーレとダイヤは再び人間界へ戻っていった



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