ベルデはダイヤを連れて、イザマーレとリリエルのいる部屋に向かった
「イザマーレ?ダンケルにリリエルちゃんの悪魔化許可、貰えたよ…
ごめん。君のことを理解しようともせずに。
君たちが抱えていた心の傷、そして背負い続けた孤独を思えば、
責めることなんか誰にもできないはずなのに。
リリエルちゃんとウエスターレンの話を聞いてようやく分かったよ。
君たちの無償の愛に比べたら、ダイヤちゃんの悩みなど
本当にとるに足らないことだったんだね。」
ベルデはリリエルを見ながら話しかけるが、イザマーレは何も答えない。
「……」
「お願いがあるんだ。処置については、僕にも手伝わせてくれないかな」
イザマーレはようやくベルデを見たが、
何も言わず再びリリエルに視線を戻す
「もちろん、君だけでやるつもりなんだろうし、
君なら間違いなくやり遂げると思ってる。
だけど…あの時君たちを救えなかった償いを、
僕にもさせてほしいんだ。
今は僕が診ているから…ダイヤちゃん連れて来た。
2名でまだ話すこともあるだろ?ここは任せて」
ベルデに促され、イザマーレとダイヤは再び向き合った。
「閣下!リリエル様は大丈夫なのですか!
治療に必要なら私をリリエル様と一緒にするなり、
私自身の結晶を始末すれば治るなら、喜んでこの命差し上げます!
どうかリリエル様を…助けてあげてください…」
イザマーレは目を閉じて聞いていたが、ダイヤを見た。
「いや、その必要はない。
リリエルはようやくこれまでの因縁から解き放たれて
悪魔としてよみがえる。大丈夫だ」
「しかし閣下!私はリリエル様の片割れの結晶で…」
「お前には、リリエルが持っていた感情が確かにある。だが、
切り離した時点ですでにダイヤ、お前自身だろ?」
「……」
本質を突かれ、ダイヤは何も言えなくなった…
「しかも、頑固で意地っ張りなのは吾輩そっくりだ。
お前が生き残ってくれただけで、どこか満足してしまってな。
大切に思う気持ちに嘘はない。
リリエルと同じようにお前を愛したかと言われれば、
違っていたのは確かだな。お前とリリエルは、
それぞれに個性を持っているのだから、当然だろう。
だが、生き生きと逆らってくるお前を見ているのは、楽しかったぞ。」
「……閣下…」
ダイヤはイザマーレの言葉に涙が溢れていた
「吾輩やリリエルの幻影に怯えるな、ダイヤ。
お前はリリエルの影ではない。
影を超えて生きていけ。決めるのはお前自身だ」
イザマーレはダイヤの頭をポンと撫で、その場から姿を消した
そしてダイヤは泣くのを止め、
新たな気持ちを胸に、魔法陣で消え去った……
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