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波紋


久々に雲もなく晴れ渡った日…


ダイヤは裕子を連れてプエブロドラドへと来ていた。

裕子に自分の働いている所を案内したかったのだ。


信者たちが気さくに声をかける。

ダイヤが笑顔で話している姿を見て、驚きを隠せない裕子。


大魔王のダンケルの后が、真っ黒な軍服を着て村を巡回している。

下っ端でも出来る事を、ダイヤが進んで動いている。

困ってる信者を見つければ、声を掛け解決に導く。


人間界でいう警備さんってところだな…と裕子は見ていた。


会う信者に裕子を紹介しては…

「裕子さんと仲良くしてね!まだ魔界に来たばかりだから~!」

とダイヤがニコニコして話す


「宜しくね!裕子さん。

この世界って本当に素敵な所だから!!(*σ>∀<)σ」

会う信者は口々に魔界の良さを言ってくる


(やっぱりこの世界に来て間違いは無かったんだ…良かった!)


裕子は心で呟いた


そして…情報局に戻ろうとした時…


一瞬だったがとっさにダイヤは裕子に抱きついた…

奇声の声と共にザクッっと音がしダイヤから鮮血が飛び散った


「な、なっちゃん!?」

裕子は唖然として固まっている




 

「…誰だ…貴様は!!」


真っ黒いオーラがダイヤの身体から現れ、

振り返り、魔力を切り付けた悪魔に飛ばした。

しかし痛みでコントロール出来ず、

相手の悪魔にかする程度で逃がしてしまった。


血が流れ息も荒くしながら、ダイヤは何とか裕子を連れて

魔宮殿のダンケルの居る部屋へ瞬間移動し、倒れこんだ


「!!!?ダイヤ!?」

ダンケルは驚き、倒れこむダイヤを抱き上げた


「す…みません…油断してました…」

痛みで震えながらダイヤは言った。


血が流れ、ダンケルの服も赤く染まる。

ダンケルはダイヤを抱きかかえ、扉を魔力で破壊し大声で怒鳴った


「ベルデを呼べ!!一刻を争う!早くしろ!大至急だ!!」


ダンケルの声で使用魔も走り回る。


「陛下…」

裕子が震えながら言っていたが…


「話は後だ!!」


振り返ったダンケルの瞳は真っ赤に染まり、

怒りで目尻がつり上がり黒いオーラを漂よわせている。


そのままダンケルはダイヤを抱き上げ姿を消した


裕子はただ固まって震えていた……




 

呼ばれたベルデが魔宮殿に現れ、ダイヤの治療を施した。


ダンケルはずっと傍で見守っていた


「…これでよし!もう大丈夫だよ」

ベルデはダンケルに優しく言った


「…傷は残るのか?」

ダンケルは心配そうにベルデに聞く


「ちょっと傷は残るかも…今、安静にしてもらう為に寝かせたから。

当分安静にさせてね。激しい動きは駄目だからね?ダンケル…」

ベルデは横目で、釘を射すように言った…


「…分かっておるわ!!」

ダンケルは舌打ちしながら呟いていた…



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