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異変


その頃、王室では…


「リリエルちゃんにしてみれば、

イザマーレだけを悪者した僕たちを許せないのも分かる。

誤解していたことは謝るよ。……だけど、どうしても分からないんだ。

前から思ってたけど…そこまでしてダイヤちゃんに拘るのは何でなの?

イザマーレにしてみれば、君がいればいいだけなのに」


ベルデは穏やかな口調で問いかける。


「それは……」


「それは、ダイヤがリリエルから切り離された、

イザマーレの妻Lilyelの結晶の生まれ変わりだからだ」

そう言いながら現れたウエスターレン。


「!長官…!」

リリエルは嬉しそうに微笑む。


「「!?」」

2名は固まってウエスターレンを見ていた


「…なあ、リリエル」

「……」

リリエルはいつも笑顔で答えるのに俯いていた…



 

その頃、最上階で意地を張り合い続ける2名。


「はい。私は陛下の妃になりましたし…

いつまでも今までの事を引きずる訳には参りませんので…

陛下の元で生涯過ごします」

ダイヤは笑顔で言った。意思も固いようだった


「リリエルは納得しないし、吾輩も納得いかない…」

イザマーレは目の前のダイヤではなく、何かを透視していた。


「…リリエル様を納得させるのが貴方様の役目。貴方様の妃なんですから。

片割れがいなくっても今まで過ごせたでしょ?」


ダイヤの言葉に何も答えず、

イザマーレは突然、ダイヤの目の前から姿を消す。


「!?」


……

一方、王室では…


「でもね…分からないんだよ…そこまでして拘るのは何でなの?

君がいればいいだけなのに」


「それは……」


リリエルが言いかけた時、ウエスターレンが現れた


「それはダイヤが、リリエルから切り離された

結晶の生まれ変わりだからだ」

ウエスターレンは煙草を吸いながら言った。


それを聞いたダンケルとベルデは驚きを隠せなかった


「…なあ、リリエル」

振り返ってウエスターレンはリリエルを見たが…



 

いつも微笑んでるリリエルが俯き、何も答えない…


「…ハァハアっ……うっ!…………」


息苦しそうなリリエルにウエスターレンは驚いた





「! おいっ大丈夫か………」

倒れ込むリリエルを支えようとした瞬間…


とてつもない轟音と共に王室全体が粉々に割られ、

現れたイザマーレが、リリエルを抱き抱えた


「…大丈夫だ。安心しろ…リリエル…」

優しく囁いて瞬間移動した


目が点になり、呆然と固まるダンケルとベルデ……


魔宮殿内の騒ぎを聞きつけて、ダイヤは魔法陣で王室に姿を見せた


「…どうしたの…この部屋…!?」

破壊された部屋を見て、唖然とする


「リリエルちゃんが倒れた途端にイザマーレが破壊した…」

ベルデはため息をつきながら呟いた。


「!……リリエル様が…」

「…大丈夫だ。あいつは先程、イザマーレが屋敷に連れ帰った」

ウエスターレンはすでに落ち着きを取り戻していた。


リリエルの一大事、当然すぎるイザマーレの行動



 

それにも気付かず、話の途中で急に姿を消したイザマーレに

落ち込んでいた自分が許せないダイヤ。


「陛下!リリエル様の命をお救い下さい!

お願いです!リリエル様をどうか!」

ダイヤはダンケルに近寄って言った


「ダンケル、僕からもお願いする。

見たろ、これだけでこの破壊力……」

砂埃を払いながら、ベルデも部屋を見て言った


「当然、分かってるよな?ダンケル…」

邪眼を開き、ダンケルに迫るウエスターレン


ダンケルは脱力しながらも、即決する。

「…どうせお前ら、私の意見も聞かずに

勝手にやるんだろ!もちろんだ!!」




ため息混じりではあるが渋々了承するダンケルにダイヤは安堵した。

やっぱり…心の中ではリリエルの事が好きなんだと改めて思う。

座り込んで泣いていた


「ダイヤ一緒に来るか?」

ダイヤの様子を見て問いかけるウエスターレンに、ベルデが声をかける。


「ウエスターレン、君は早く

イザマーレのそばに行ってあげて。

ダイヤちゃんと話をさせてほしいんだ。

その後、僕が必ず連れていくから」


「…分かった。ダイヤ、いつまでも泣くんじゃないぞ」

肩に手を置いてウエスターレンは魔法陣で移動して行った



 

ベルデは場所を変えダイヤと向き合った


「…君はリリエルちゃんの切り離した結晶だって知ってるよね?」


ダイヤはベルデを見て頷いた


「リリエルちゃんのために、切り離したということは、

本来なら最も遠ざけたい、忌むべき存在だったはずだ。

もちろん、君にその責任はないよ。

きっとイザマーレは、妻そのものには変わらない君を、

何とか愛そうとしたんじゃないかな。

過去ごと、受け止める覚悟で…

そういうところ、とてもイザマーレらしいと思う。」


「……」


「だけど、さすがのイザマーレでも愛し方が分からなかったんだろう。

ああ見えて、とても不器用だから。君にとっては辛かったろうけど…」


(……私は…何してたんだ…自分が愛されたいばかりで

閣下の気持ちを理解しようともせず…)

ダイヤは愕然と後悔していた


「僕は今からイザマーレの屋敷に行くから、良かったら君もおいで…ね?」

ベルデの優しさに泣いていた

「……お願いします…」

頭を下げてダイヤは顔を上げた。

泣きながらも覚悟を決めた顔になっていた



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