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約束


プエブロドラドで黒ミサが開催された夜

雷神帝と雷帝妃に紹介された後

スプネリアはラァードルに手を引かれ、イザマーレの屋敷に居た

「人間界に旅する間、自由に使って構わない」

黒ミサの直前、楽屋でイザマーレに呼び止められ、鍵を渡された。

受け取ったラァードルは戸惑いを隠せずにいた


「心配するな。それは、ある部屋にだけ使える特殊な鍵だ。

我々の部屋は全て、扉を消していくからな♪」

そう言って、ニヤッと笑うイザマーレ

「あの後、リリエルにも聞いているが、

どうもスプネリアはリリエルに似たタイプのようだからな

雷神界の正式な跡取り息子の妃として、遜色ないと思うぞ。

カッコいい王子になってやれ」


(なるほど…)


屋敷の中は真っ暗闇で、すべての部屋の扉が消えていた

イザマーレから渡された鍵を取り出すと

普段は使わない螺旋階段の上に明かりが灯り、豪奢な部屋が現れた


スプネリアをエスコートしながら、部屋に入った途端、扉が消えた


「へえ~…さっすが、サムちゃん。

すっげー豪華な部屋を用意してくれちゃって♪」

ラァードルは部屋中を見回していた


高級ホテルのスイートルーム並の広さ。

部屋の中は、ベッドだけでなく、キッチンやシャワールーム

全てが揃えられており、

数日間はその部屋の中だけで過ごせるようになっていた




 

(…////////)

ここまで黙って着いてきたスプネリア。

ドキドキしながら部屋の中を覗いていたが

不思議な事に、強い既視感に囚われていた


「殿下…この部屋って、もしかして…////////」

「ん?昔サムちゃんが、リリエルちゃんと契約を交わした部屋なんだって」

「!!!」

ラァードルの言葉に驚くスプネリア


「だけどまあ、それはリリエルちゃんを安心させるための

偽りの契約だったんだけどね。それでもサムちゃんは、彼女の為に

ここまで豪奢な部屋を用意したんだな…流石だな…」


スプネリアは、リリエルの言葉を思い返していた


“人間界に家族も居た私が、そんな事、許されるわけないんだから。

それなのに閣下は、そんな私を丸ごと受け入れてくださった…”


「…凄いな。閣下も、リリエル様も。」

改めて感動して呟くスプネリア


「そうだな。俺も、サムちゃんのように、

いつでもスプネリアの傍で守ってやれる存在でいたい。

お前の戸惑いも恥じらいも全て、受け入れてやる。

お前の覚悟が出来るまで、いつまででも待つから。」


「…殿下…っ////////」

涙がこみ上げるスプネリアと、ゆっくりと口唇を重ねる

バスローブを脱がしながら、綺麗な肌に舌を這わす

筋肉質なラァードルの腕に力強く抱かれ、何度も熱に浮かされ

果て続ける。熱い思いを胸に、スプネリアもラァードルの首に腕を回す


いつか勇気が持てたら、この気持ちの全てをお伝えしたい…

そう心に誓いながら…






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