……
出口のない迷いを繰り返しながら、市場で買い物をすませ
丸太小屋に戻るラドル
「お兄様、おかえりなさいませ♪」
笑顔で振り返り、嬉しそうにお茶を差し出すリリエル
「……」
ラドルは無言でリリエルを抱きしめる
「…?お兄様……?」
不思議そうに見上げるリリエル
「…っ、すまなかった。やはりお前をこのまま、
ここに居続けさせるわけにはいかない。
すぐにでも解放してやりたいんだが…こちらにも事情があってな。
俺だけではどうすることも出来ないんだ。
少しの間だけ、我慢してくれるか?
今から副大魔王様のお屋敷に行って来るから!」
「えっ…」
驚くリリエルに、ラドルは笑顔で見つめる
「親父に言われてたんだ。困ったことがあったら、
副大魔王様のお妃様に相談するようにって…
それに、副大魔王様なら、話も聞いてくれるかも…
すぐに戻るから、心配するな。分かったな?」
リリエルの戸惑う様子には気づかず、
部屋を出ていこうとしたラドル
だがその時、
「その必要はない」
何処からともなく声が聞こえ、
突如、目の前に姿を現したイザマーレに、目を丸くするラドル
「!!?!?」
「…閣下♪」
嬉しそうに微笑むリリエルを、優しく抱きしめるイザマーレに
ますます真っ青になるラドル
「えっ…ええええっ、ま、まさか……Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン」
「少しの間、吾輩の妻が世話になったな。ラドル。」
イザマーレの決定打に慌てて跪き、平謝りするラドル
「もっ…申し訳ありませんでしたっ!!!!」
「閣下…お兄様に、とても優しくしていただいたの。
何も怖い事なんかありませんでしたから、あの…」
上目遣いで見つめるリリエルに、イザマーレも微笑む
「そのようだな。多少、いや、かなり、
行き過ぎた行為はあったが(怒)
罪を償ったら、まっとうな道を進めば良い。
その代わり、お前に聞きたい事がある。
事の発端となった首謀者の…」
その時、部屋の中にシャボンの泡玉が現れた
「ん?これは…」
「…!親父だ!親父が危ない!」
ハッとして叫ぶラドル
「!…ランソフが?」
「親父はずっと、奴らに拘束されていたんだ。
自分の命と引き換えに、居場所を伝えようとしているんだ
こんな事してたら、消滅しちまう!」
ラドルの言葉を聞いていたイザマーレは、
脳内でウエスターレンと交信する
(分かるか?ウエスターレン…)
(バッチリ♪今から現場へ向かう。お前も来い。
あまり時間はなさそうだ。ランソフが危ない)
(分かった。親玉だけは仕留めるな。吾輩にやらせろ。後でな)
「ラドル。ご苦労だった。お前の処遇は追って伝える。
それまでは、猫の遊び相手になってやれ。セルダ!頼んだぞ」
「はいよ!任せな♪」
その瞬間、現れたセルダに拘束され、連行されるラドル
「…すまなかった。俺はどうなっても構わない。
親父の事を、助けてほしい。頼む…!!」
「リリエル、おいで。行くぞ!」
イザマーレはリリエルを抱き寄せ、瞬間移動で消え去った
文化局にリリエルを預け、すぐさま現場へ向かう
待ち構えていたベルデと裕子に出迎えられるリリエル
「リリエル様…!良かった…」
涙を流して喜ぶ裕子
「裕子さん、ごめんなさいね。心配かけました。」
リリエルは裕子を抱きしめ、微笑む
そして、真剣な表情でベルデを見つめた
「…和尚……」
「…分かってる。彼らの事だから、何の心配もないよ。
後は…僕も何とか、力を尽くすから。」
魔水晶に手をかざしながら、のんびりと呟くベルデ
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