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苦悩


その日も大量の職務を捌き、宮殿にある居室に戻ったミカエル

ソファに座り込み、部屋の中の一点を深い眼差しで見つめている

ここ数日、それが癖になりつつあった


それは、事件の際に暴走しかけた自身の波動により生じさせた

わずかな結界の亀裂だった


静かに目を閉じると、今も聞こえてくる……

リリエルの歌声を聞いたのは、いつ以来だったのか……

ミカエルに残る、イザマーレの結晶の一部が

大きく揺り動くのを感じる


(……まいったな。でも、これでいい筈なんだ。

例え届かなくても、思い続ける事は出来るから…)


「…さっ。まったく、変な置き土産をしやがって…」


想いを断ち切るように、独り言ちながら立ち上がる

そして、亀裂を修復させようとして、躊躇う


静かに拳を握りしめ、震える


「…フッ、まあ、あいつに頼まれたら。それからでも良いか。」


そんな言い訳を吐露し、今日もまた遣り過ごす…




 
 
 

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