苦悩
- RICOH RICOH
- 2024年10月26日
- 読了時間: 1分
その日も大量の職務を捌き、宮殿にある居室に戻ったミカエル
ソファに座り込み、部屋の中の一点を深い眼差しで見つめている
ここ数日、それが癖になりつつあった
それは、事件の際に暴走しかけた自身の波動により生じさせた
わずかな結界の亀裂だった
静かに目を閉じると、今も聞こえてくる……
リリエルの歌声を聞いたのは、いつ以来だったのか……
ミカエルに残る、イザマーレの結晶の一部が
大きく揺り動くのを感じる
(……まいったな。でも、これでいい筈なんだ。
例え届かなくても、思い続ける事は出来るから…)
「…さっ。まったく、変な置き土産をしやがって…」
想いを断ち切るように、独り言ちながら立ち上がる
そして、亀裂を修復させようとして、躊躇う
静かに拳を握りしめ、震える
「…フッ、まあ、あいつに頼まれたら。それからでも良いか。」
そんな言い訳を吐露し、今日もまた遣り過ごす…
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