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負傷


リリエルに焼きもち焼かせたい症候群で

イザマーレが暴走する少し前の事。


イザマーレはダンケルに任された公務にあたっていた。

ウエスターレンはイザマーレを守るため、傍に居た。

どうしても護衛が必要だったダンケルは

軍時局参謀のバサラを呼び出し護衛につかせた。


バサラは初めての任務で不安な顔をしている

『誰でも初めは不安になるさ。心配はいらない大丈夫だ』

ダンケルは微笑んでバサラの肩に手を乗せた。


だが…ここは魔界。

天界だけでなく、魔界にいる低級な悪魔さえ、

隙あらば大魔王の命を狙ってくる。

普段であれば、イザマーレがバサラの役を担い、

ウエスターレンが全力でイザマーレを守り、

ふりかかる火の粉を払いのけ続けていたのだ。

髪に座るリリエルを見れば、刺客も闘争心を削がれるためか

最近では、そのような場面に遭遇する頻度も

少なくなってはいたのだが…


郊外で公務をしていたダンケル。

イザマーレたちがいないことを察した刺客が、襲ってきた。

咄嗟の事でバサラも庇いきれず、

ダンケルの左腕に深い傷を負わせてしまったのだ。

そんな事で怖じ気づかないダンケルは

天界の兵士を魔力で切り刻み瞬殺させた。


「陛下!」

バサラは駆け寄ったがダンケルの様子がいつもと違う…

腕を押さえてる手の間から血が流れ、痛みを堪えているが…

いつものダークブルーの瞳が赤くなり始めていた


「…ダイヤを…呼べ…早く…しろ」

ダンケルの低い声に、バサラは焦ってダイヤを呼び出した




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