文化局の医務室
瀕死の状態で保護されたランソフ
ベルデの魔術でなんとか一命を取り留めていたが……
リリエルを髪に乗せ、見舞いに訪れたイザマーレ
「ベルデ、ランソフの状態はどうだ?」
「うん…元々、魔力の弱い低級魔だからね
魔力を使い果たしてしまい、回復させることは出来ないみたい」
ランソフは、悪魔としての力をすべて失い、
人間になってしまっていた
部屋に入ったイザマーレを見た途端、
柔和に笑いかけるランソフ
「老体が無茶をして、しくじりました。
消滅したら、先代様に叱られておきます♪」
「…ランソフ、お前がいなければ、
誰が吾輩の衣装を仕立ててくれるのだ?
勝手なことは許さんぞ…」
ため息をついて見つめるイザマーレ
「ふふ。大丈夫ですよ。ぼっちゃん。
私の技術は、すべてエマに伝えてございます。
この度の愚かな行為、私が全て請け負います。
子供の悪戯は、親が責任を取らねば♪」
穏やかなランソフの言葉に、涙を浮かべるイザマーレ
「ぼっちゃんの事は、誰よりも理解しております。
大事なリリエル様を見失わず、本当に良かった…
私はいつまでも、ぼっちゃんとリリエル様の味方です。
安心なさってくださいませ」
先代の副大魔王が健在の頃から、
使用魔として仕えていたランソフは
イザマーレにとって、最も頼れる老家臣のような存在だった
ヨッツンハイムの悲劇も、その後のイザマーレの苦悩も
我が事のように見守り続けていたランソフ。
だからこそ、ヴィオラの行為が許せなかったのだ
イザマーレの傍で静かに寄り添うリリエルを
にこやかに見つめるランソフ
リリエルはそっと近寄り、ランソフの手を握る
「ランソフ。貴方に、背負わなければならない罪などありません
勝手に消滅し、閣下を悲しませるなんて、私が許しません。
人間として…それでもいいから、いつまでもお元気でいてください。
お願いします」
リリエルの言葉に、慌てふためくランソフ
「り…リリエル様…ありがたいですが…そんな事が許されるはずが…」
にっこりと微笑むリリエル
「良かった♪喜んでくださるのなら…ね?閣下…♪」
イザマーレも笑顔になり、ランソフに宣告する
「ランソフ。お前に今後の処遇を言い渡す。
人間として、今後も我が屋敷の使用魔を継続しろ。
それにあたって、人間界の屋敷の管理を、お前に任せたい。良いな。」
「…!!かっ、かしこまりました…!!このランソフ、
心して従います。イザマーレ様…」
礼儀正しくひれ伏し、拝命するランソフ
「ラドルが罪を償い、出てくるまでは
エマはリリエル預かりとする。
その後は人間界で、暮らしていけ。分かったな。」
「…はい。ありがとございます…」
ランソフの様子に、笑顔で見つめ合うリリエルとイザマーレ…
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