春うららかな4月の水曜日
この日も無事にテレビの生放送は終わった。
国際弁護士のラオは早々にメイクを落とし
廊下のいつもの場所に隠れた。
そう!毎週水曜日は大切な日なのだ。
しばらく待っていると、話し声の中に自分の想い人の声を見つけた。
偶然を装い、想い人の前に立つ
「閣下、今日もお疲れ様でした」
爽やかな笑顔で声をかけられたのは、イザマーレ閣下
「おぉ、ラオさん。お疲れ様でした。」
ラオは当たり前のようにイザマーレの横に並び、話し始める
「閣下、僕、弁護士辞めようと思うんです」
その言葉を聞いたイザマーレは
「そうなんですか!それで今後はタレントに?」
と純粋ピュアな返事を返す。
それを聞いたラオは苦笑いを浮かべる
「やだなぁ、閣下。今日はエイプリルフールですよ。嘘です(笑)」
「エイプリルフール…そうか、人間界にはそんなものがあったな」
独り言を呟いていると、ラオからまた話しかけられた
「…そういえば、時々閣下を迎えに来られる女性とは
良い感じなんですか」
「あぁ…////」
ラオの無粋な質問に、照れながら一言だけ返すイザマーレ
そんなイザマーレの反応に苛立ちを隠しながら、ラオは続けた
「閣下、せっかくのエイプリルフールですよ。
少しの刺激は二人の仲をより深めてくれます。どうですか?
嘘で彼女に「別れよう」と言ってみては?」
それを聞いたイザマーレは眉間にしわをよせ、不機嫌になった
「吾輩とあいつは、そんな事をせずとも深い絆で結ばれておる!」
イザマーレの表情と声を聞いて焦るラオ
「いや。別に無理にとは言ってません。
例えばを言っただけです。ところで閣下…」
と話をそらした
(少しの刺激か…そんな事をせずとも
リリエルの気持ちは分かっているつもりだ…しかし…)
何となく交わした会話が、なぜかこびり付いてしまったイザマーレ
……
数か月後、季節は梅雨を超え
そろそろ本格的な夏を迎えようとしていた
またしても、生放送の収録を終え、
いつものように話しかけてくるラオ
「閣下、お疲れさまでした。早いものですねえ。
いつの間にか、もう7月ですよ」
「そうですね。」
一言だけ言葉を交わしながら、
ある事に思いを馳せていたイザマーレ
(そういや、あいつの誕生日も、もうすぐだな…)
だが、そんなイザマーレの思考を遮るかのように
話を続けるラオ
「7月といえば、七夕ですね。遠距離恋愛中の恋人のように
時には刺激を作るのも良いでしょうね。
例のあの…彼女とも、いかがです?」
こうして「嘘」と「刺激」というキーワードをインプットされ
ラオの罠にはまっていく…
屋敷に戻ると、真剣な顔をしてリリエルを呼び出すイザマーレ。
リリエルは、いつものように穏やかな笑顔で向き合う
「リリエル…吾輩はお前とは別れる」
副大魔王とは思えない、しどろもどろな様子に
何かあったな、と察するリリエル
「どういう意味ですか、閣下」
穏やかな笑顔を絶やさず、問いかけるリリエル
「いや…だから…その、別れ…」
下を向いたまま話すイザマーレ
「もしかして、人間界の❮エイプリルフール❯だった…
とかではないですよね?」
「いや…その…少し刺激があった方が、
上手くいくとラオさんが…」
汗だくになるイザマーレ
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