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仮釈放


それから数か月


最高魔軍の構成員と、悪魔軍666師団総出で

イザマーレを誘い出し、世界各地に慰安の旅に出ていた


ダンケルはウエスターレンの今後の活動についてベルデと密会していた。


「…イザマーレの様子はどうだ?」


「見た目は元気になってきてるよ。

今の彼なら、職務に戻してやってもいいと思う。」

ベルデはため息付いて頭を掻いた


「…そうか。苦労をかけたな、ベルデ」


「気にしないで。僕にできることなんか微々たるものなんだ。

イザマーレ自身のパワーの前には、せめて見守るしかできないから。

ところでダンケル?言わなくていいのか?

あの時君が、ウエスターレンを痛めつけた本当の理由を…

ウエスターレンに危害を加えれば、イザマーレが必ず身を挺して守る。

結果的にイザマーレに危機がせまる。

イザマーレの危機、これこそがウエスターレンの魔力を回復させる為の鍵…

そうなんだろ?」


「…言って何になる。結果としてイザマーレに大怪我を負わせた挙句、

ウエスターレンを怒らせ、魔界から姿を眩ましてしまった。すべて、私の責任だな」


「……でも最近は、ここ魔界でも彼の魔力を感じれるようになってきた。

ウエスターレンのことだから、ダンケルの気持ちもきっと分かっていたと思うよ。

僕も出来る限りの力を尽くすから。」


「......」


この時の2魔の会話を、イザマーレはこっそりと聞いていたのだ



 

それから数日後


やっと体調も精神的にも復活したイザマーレは

仕事復帰する前に、ダンケルに詫びを入れに魔宮殿に訪れていた。

勿論何らかの処分を受けることも覚悟のうえだった。


ダンケルの居る部屋に通され跪き頭を下げた。


「この度は陛下にご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。

陛下に忠誠を誓い、今後も仕事に励んで参ります。

どうぞお心のままに、捨て駒としてお遣いくださいませ」


イザマーレの言葉にダンケルは微笑んだ

「心して励め…しかしイザマーレ、

今回の失態は許されるべきものではないと分かっているな?」


「御意」


「当分お前の魔力は私が預かる。

それと人間界の出入り禁止。以上が私からの処分とする」


ダンケルはイザマーレの前に手を差し伸べ

青い光が彼を包み、やがて消えた


光が消えた後、イザマーレの髪は金髪からオレンジ色の髪となり

背中まであった髪は首下位の短さとなっていた…


「さぁ持ち場に戻れ。

今までの分の書類が残ってるぞ…頑張れよ…イザマーレ」


イザマーレは一礼して部屋を後にした。


仕事に復帰したイザマーレの様子が心配になり

次々と構成員が訪ねにきていた。




 

バサラはイザマーレのオレンジ髪を触る

「オレンジ色も似合ってて良いじゃん!素敵だよ、イザマーレ♪」


「ちょい!バサラ!閣下に馴れ馴れしく触るなよ!」

セルダがイザマーレに抱きつきムッとして言った。


「自分だって!閣下に抱きついてんじゃん!」


ギャーギャー騒ぐ2魔にイザマーレも苦笑いしていた。


「でも良かった。閣下が復帰してくれて…安心したよ」


「心配掛けたな。もう大丈夫だ」

イザマーレはセルダを離しつつ、にこやかに言った。


「仕事が一段落付いたら飲みに行こうよ!」

「そうだな…奢ってくれるのか?」

「もちろん!喜んで!」


2魔が同時に言った。


本当に優しい悪魔だ。こんな吾輩でも慕ってくれる。

こいつらの為にも、そして、ウエスターレン

お前のためにやるべき事があるのだ。







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