留学生
- RICOH RICOH
- 2024年11月26日
- 読了時間: 4分
数日後、会長のイザマーレと一緒に数名の留学生を出迎えるAnye
「ようこそ、魔界高等専門学校へ♪」
微笑み、手を差し出すAnye
「スプネリア様、リリア様、ムーラン様……
それに、引率のプルーニャ先生とダイヤ先生ですね」
自分たちの世界にいる校長とそっくりなAnyeに
目をパチクリさせていた留学生たちが、それぞれに口を開く
「……理栄校長先生……?!」
「まさか、そんな事ないよね……?!」
リリアとムーランはお互いに疑問を投げかけ合い、何度も確認している
じーっと観察していたスプネリアも、首を傾げている
「理栄校長先生よりは若干幼い気がしますが……
似てらっしゃいますね……?!」
「ほらほら、あんた達! コソコソ興味津々で喋ってたらあかんのやで~
……でも、ホンマソックリやな~~ 閣下よく我慢出来てるな……ボソッ」
「「「アンタが1番興味津々のノリノリやんか!!」」」
プルーニャが呟いた言葉に容赦なくツッコミを入れていく3名……
「分からない事は、魔女組代表委員のAnyeに聞くようにな」
「まずは、皆さまの寮にご案内しますね。こちらです。どうぞ♪」
歩き出そうとしたAnyeの腕をつかみ、耳元で囁くイザマーレ
「Anye、迷子になるなよ♪」
「…っ わ、分かってますよ!!もうっ…///////」
真っ赤になってプンスカするAnye
「迷子になるのはどっちの世界もマストアイテムみたいね(笑)」
「閣下のからかい方も一緒だね(笑)」
「なんかホッとすると云うか安心するね(笑)」
「……」
留学生たちの会話をそれとなく聞いていたAnyeは
ふと、ある事に気づき、静かに観察していた
(オーラが違うから、分からなかった…顔だけじゃなく、声も同じなのね…)
彼女たちを寮まで案内した後、生徒会室に戻ったAnyeは
それとなくイザマーレの表情を窺う
「Anye。事の報告はどうした?」
サインし続けている契約書から目を離さず、問いかけるイザマーレ
「寮までご案内して参りました。会長、あの…」
いつもの様子と違うAnyeに気づき、初めて視線を向ける
「どうした?」
「あの方たちの学園は、どの辺りにあるのですか?私は魔界の事を
あまり詳しくは存じ上げていないので…」
「ああ、確かに魔界に存在している学園なんだが、
我々の肉眼では見えない。魔鏡の中にある、異次元の世界だからな」
「!…もしかして、どなたかが魔力でお作りになった…とか?」
「勘が鋭いな。その通りだ。吾輩の言霊で作り出した世界だ。
今の我々の時代より、遥か先の未来に設定してある。」
「!!……///////」
イザマーレの言葉に目を瞠り、薄っすらと涙を浮かべるAnye
「Anye?」
訝し気に眉を顰め、問いかけると、恥じらうように背中を向ける
「あ、いえ…すみません。あの方たちが、
未来にある可能性の姿だというなら…
そう思ったら、嬉しくて…///////」
「……」
「…お気づきになりましたか?彼女に…
えっと、確か…あ、そうそう!ダイヤ先生と仰る方ですよ!!
あまりにもそっくりで、内心、驚いていたんです」
言われて初めて、つい数時間前に出迎えた
彼女たちの姿を思い返すイザマーレ
「……あ。」
名前も、容姿も、魂のオーラさえも異なる、彼女
Anyeの心から浮かび上がる、在りし日の風景と重ね合わせ
初めて記憶の糸が繫がった
「そうか……お前の力に救われ、見事、輪廻を果たした
そういう事か…」
「私のちっぽけで我儘なおせっかいで、
ラディアの未来を繋げられたのなら…
そう思ったら、嬉しくて…///////」
堪えきれず涙を流しながら、その思いを嚙み締めるAnye
静かに聞いていたイザマーレは立ち上がり、
Anyeを抱きしめて髪を撫でる
「…今度、行ってみるか?あいつの様子を見に…」
「!…」
驚いて見上げるAnyeに微笑み、口唇を重ねる
「///か、会長…っ ダメですよ、学園内…んっ///」
真っ赤になり、慌てふためくAnyeに構わず、舌を絡め深く口づけ合う
甘いぬくもりに、力が抜けるのを見計らい、そっと口唇を離す
「自分に自信を持つ事は、大いに結構。だが、その力を
吾輩以外の相手に使い、涙を流すとは…
まだまだ、お仕置きが必要だな」
「…えっ…きゃあっ…」
キョトンと首を傾げるAnyeを抱き上げ、
悲鳴にも似た叫び声にも構わず
瞬間移動していた…
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