top of page

留学生


数日後、会長のイザマーレと一緒に数名の留学生を出迎えるAnye


「ようこそ、魔界高等専門学校へ♪」

微笑み、手を差し出すAnye


「スプネリア様、リリア様、ムーラン様……

それに、引率のプルーニャ先生とダイヤ先生ですね」


自分たちの世界にいる校長とそっくりなAnyeに

目をパチクリさせていた留学生たちが、それぞれに口を開く


「……理栄校長先生……?!」

「まさか、そんな事ないよね……?!」

リリアとムーランはお互いに疑問を投げかけ合い、何度も確認している


じーっと観察していたスプネリアも、首を傾げている

「理栄校長先生よりは若干幼い気がしますが…… 

似てらっしゃいますね……?!」


「ほらほら、あんた達! コソコソ興味津々で喋ってたらあかんのやで~

……でも、ホンマソックリやな~~ 閣下よく我慢出来てるな……ボソッ」

「「「アンタが1番興味津々のノリノリやんか!!」」」


プルーニャが呟いた言葉に容赦なくツッコミを入れていく3名……


「分からない事は、魔女組代表委員のAnyeに聞くようにな」


「まずは、皆さまの寮にご案内しますね。こちらです。どうぞ♪」


歩き出そうとしたAnyeの腕をつかみ、耳元で囁くイザマーレ


「Anye、迷子になるなよ♪」

「…っ わ、分かってますよ!!もうっ…///////」

真っ赤になってプンスカするAnye



 

「迷子になるのはどっちの世界もマストアイテムみたいね(笑)」


「閣下のからかい方も一緒だね(笑)」


「なんかホッとすると云うか安心するね(笑)」


「……」

留学生たちの会話をそれとなく聞いていたAnyeは

ふと、ある事に気づき、静かに観察していた


(オーラが違うから、分からなかった…顔だけじゃなく、声も同じなのね…)


彼女たちを寮まで案内した後、生徒会室に戻ったAnyeは

それとなくイザマーレの表情を窺う


「Anye。事の報告はどうした?」

サインし続けている契約書から目を離さず、問いかけるイザマーレ


「寮までご案内して参りました。会長、あの…」


いつもの様子と違うAnyeに気づき、初めて視線を向ける


「どうした?」


「あの方たちの学園は、どの辺りにあるのですか?私は魔界の事を

あまり詳しくは存じ上げていないので…」


「ああ、確かに魔界に存在している学園なんだが、

我々の肉眼では見えない。魔鏡の中にある、異次元の世界だからな」


「!…もしかして、どなたかが魔力でお作りになった…とか?」


「勘が鋭いな。その通りだ。吾輩の言霊で作り出した世界だ。

今の我々の時代より、遥か先の未来に設定してある。」



 

「!!……///////」


イザマーレの言葉に目を瞠り、薄っすらと涙を浮かべるAnye


「Anye?」

訝し気に眉を顰め、問いかけると、恥じらうように背中を向ける


「あ、いえ…すみません。あの方たちが、

未来にある可能性の姿だというなら…

そう思ったら、嬉しくて…///////」


「……」


「…お気づきになりましたか?彼女に…

えっと、確か…あ、そうそう!ダイヤ先生と仰る方ですよ!!

あまりにもそっくりで、内心、驚いていたんです」


言われて初めて、つい数時間前に出迎えた

彼女たちの姿を思い返すイザマーレ


「……あ。」


名前も、容姿も、魂のオーラさえも異なる、彼女

Anyeの心から浮かび上がる、在りし日の風景と重ね合わせ

初めて記憶の糸が繫がった


「そうか……お前の力に救われ、見事、輪廻を果たした

そういう事か…」


「私のちっぽけで我儘なおせっかいで、

ラディアの未来を繋げられたのなら…

そう思ったら、嬉しくて…///////」


堪えきれず涙を流しながら、その思いを嚙み締めるAnye



 

静かに聞いていたイザマーレは立ち上がり、

Anyeを抱きしめて髪を撫でる


「…今度、行ってみるか?あいつの様子を見に…」


「!…」

驚いて見上げるAnyeに微笑み、口唇を重ねる


「///か、会長…っ ダメですよ、学園内…んっ///」


真っ赤になり、慌てふためくAnyeに構わず、舌を絡め深く口づけ合う

甘いぬくもりに、力が抜けるのを見計らい、そっと口唇を離す


「自分に自信を持つ事は、大いに結構。だが、その力を

吾輩以外の相手に使い、涙を流すとは…

まだまだ、お仕置きが必要だな」


「…えっ…きゃあっ…」


キョトンと首を傾げるAnyeを抱き上げ、

悲鳴にも似た叫び声にも構わず

瞬間移動していた…





 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

Comments


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page