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祝勝会


その日の夜、軍事局が主催するパーティが行われた

昼間の天界との戦いを勝利したことを記念する祝勝会だ


イザマーレとウエスターレンの両軍はもちろん、

大魔王后としてダイヤも参加していた


「お疲れ~🍻」

口々に乾杯し合い、お互いの労をねぎらう構成員たち

「セルダ!よく頑張ったな。まあ、飲め!吾輩が許す♪」

ラァードルが笑いながらセルダに酒を勧める


ベルデとウエスターレンは、少し離れたテーブルに寄りかかり

静かに酒を煽る


「…君たちのしでかす事には毎回驚かされるけど…

今回も、さすがに予測不能だったよ……

またイザマーレに辛い思いをさせたね

ウエスターレン、君にも本当に申し訳ない…」


「ふっ、なんだベルデ。珍しく弱気だな♪心配するな。

今回は、リリエル渾身のおねだりだったからな。」


「!! まさか……」


「そのまさかだ。そして、それを承諾するイザマーレもさすがだ。

例え、どんな帰結になろうとも、必ずリリエルを取り戻す。

強い信念がなければ、誰もあんな手を使おうなどと思わないだろう」


「…ま、しばらくの間、屋敷の中で扉を消し続けるだろうね。

その間の食事については、僕に任せてくれないか?」


「はあ?お前の手作り料理かよ…怖いわ!」


容赦ないウエスターレンの言葉に、少しだけ俯くベルデ


「いや…裕子ちゃんがね、心配してるもんだから…///////」


ベルデの様子を興味深く眺めるウエスターレン



 

ドカーン!!


「!?」


突然の爆音に驚いて、

すかさず状況を見定めるウエスターレンとベルデ


「…あ?」

「……ふう、やれやれ。」


揃ってため息をつく


ダンケルの名代として参加していたダイヤが、バサラの元に近づき

なにやら言葉を交わしていた。今回の戦では、

ハッキリ言って何一つ褒められる事をしていないバサラ。

項垂れた様子でダイヤに対し、謝っている様子が窺える


その刹那、怒りに暴走したダイヤが、会場の屋根を吹き飛ばしていた


「おいおいおいおい…💦」

「仕方ない…こっちが先だね。もちろん協力させてくれ。」


げんなりしながら立ち上がるウエスターレンの後に続くベルデ


……


ダンケルに頼まれて訪れた会場。

リリエルもいないし、Lily‘sも来ていない

とりあえず、近くに居たバサラに声をかけるダイヤ


「参謀!!この度は、おめでとうございました。

ご活躍だったんでしょ?」


にこやかな笑顔のダイヤとは対照的に、

やや寂し気な表情で項垂れるバサラ


「…?参謀?どうかなさった?」



 

「はぁ、俺ってホント駄目だ~ダイヤちゃん、本当にごめんね~

リリエルちゃんを蜂の巣にして仮死状態にさせるとか

とてもじゃないけど、俺にはどうやっても思いつかないよ…」


「なっ……?!」

バサラの話す内容に驚愕し、ワナワナし始めるダイヤ


「💢💢💢💢💢説明していただけますか!!」

怒鳴った瞬間、天井を破壊していた


ウエスターレンとベルデが辿り着くより先に、

騒ぎに気付いたセルダが駆け寄っていた


「バサラ、お前分かってる?しばらく閣下には近寄れないよ?

俺は何度もハグしてもらったじゃんね💕」


「( ゚∀ ゚)ハッ!……しまった…」


日頃、イザマーレ愛を競い合う相棒の言葉に

ハッとして益々落ち込むバサラ


「ま、今回はお前のミラクルファインプレーもあったからこそ

あの手が使えたんだ。報告を怠り褒められるなんて

未来永劫、お前くらいだろうな(笑)」


八重歯を見せて笑うウエスターレンに、ますますブチ切れるダイヤ


「天使を抹殺もしないで他の悪魔に任せっきりですか?💢

そして長官!!どういう事?閣下はどこ!!!💢💢💢💢💢」


「はあ?お前、聞いてたろ?リリエルと一緒に扉の中だ💕」


「はぁ?💢💢💢」

その瞬間、ダイヤの怒りがピークに達した


「傷跡ひとつ残さず、綺麗になって帰ってくるだろうねえ(笑)」




 

極めつけのベルデの決定打に、怒りの矛先を変えるダイヤ


「それは良いですけど!!💢

そんな捨て駒、私では駄目なんですか!!!

そんなに役に立ちませんか?💢💢💢💢」


「捨て駒?とんでもない。

リリエルちゃんじゃなければ、無理な事だよ。

そして、相手がリリエルちゃんじゃなかったら、

イザマーレもやる気にならないだろうね(苦笑)」


「あんですってぇ💢💢💢」

全然納得できず、暴れ続けるダイヤ

「そもそも参謀がしっかりしてないから💢💢💢」


「ご、ごめんなさい」

ダイヤの勢いに気圧されて、謝るバサラ


「リリエルに刃を向けることで起こる、自然界の怒り。

そしてイザマーレの光が示す意思

この二つが揃わなければ、あの現象は起きないからな♪」


少しも微動だにしないウエスターレンの冷静な言葉に

ハッとして、言葉を失くすダイヤ

改めてリリエルを思い、涙を流すのだ


「お前、この事をダンケルに言うなよ?

歴史的には抹消される案件だ。

最後の最後で、こいつ、バサラも役に立ったんだ。

あまり責めないでやってくれ」


「!!」


「あ、これはイザマーレから頼まれた

お前への伝言♪分かったな?」


ニヤッと笑うウエスターレン






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epilogue

イザマーレがリリエルとプライベートルームの扉を消して 一週間が過ぎた頃、情報局管轄の情報誌が出回った 表紙を飾るのは、瀕死状態のリリエルを抱き上げ、 高らかに歌い上げる夢幻月詠。 勝利の決め手となった『ダリア』と叫ぶイザマーレの不敵な表情など...

「……ん…」 (…?あれ……?) リリエルが目を覚ました時、 そこは見慣れた屋敷のプライベートルームだった 身体が怠く、横たわったまま辺りを見回す 「…リリエル?目覚めたか?」 イザマーレの声にハッとして、振り向くと バスローブ姿で寛ぎながら、執務室の残務処理なのか...

言霊

「!!!」 落ち着き払ったままのイザマーレの言葉にハッとするセルダ 「ほらよ!セルダ。これが要るだろ?」 イザマーレの背後を固く護るウエスターレンが 身に着けていたブレスレットの中から取り出したギターを手渡す 迷いを捨て、奏で始めたセルダ。そのギターの音色に合わせ...

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