魔界において、公式な儀式やパーティは
いつでも上位奪還を狙う無数の悪魔にとって
腹の中に抱える企みを隠しながら、駆け引きを行う場でしかない
中でもとりわけ、魔界中の羨望と期待、
それらを惹きつけるオーラを身に纏う副大魔王の元には、
少しでも近づける絶好の機会と、多種多様な悪魔が歩み寄って来る
光輝く副大魔王のすぐ傍には、
必ず紅蓮の悪魔がぴったりと寄り添い、警護に当たる。
2魔の並び立つ姿に、
魔界中の悪魔はおろか、草花さえも酔いしれる
政治的に出し抜きたい貴族悪魔は、お互いを牽制し合い
結果として何も手を出せず、うわべだけの笑顔を
晒し続けるだけだ。
そんな中で、無謀にも話しかけてくる悪魔など
余程空気の読めない低級魔族か、
明らかな敵意を隠して近づく犯罪組織か…
今宵も、そのどちらともつかないような、
であるからして、中途半端にも思えるような
思惑を持った女悪魔が近づいてきた
「イザマーレ様、よろしかったら私と踊っていただけませんか?」
だが、そんな彼女の言葉など何もなかったかの如く
見向きもせず、別の方向から近づいた悪魔を抱き寄せる
「閣下♪お待たせしました。着替えてまいりました」
にっこりと微笑むリリエル
「リリエル。吾輩のデザインじゃないぞ(怒)デコルテと脚は隠すな!」
彼女の髪を撫でながら、耳元で囁くイザマーレ
「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪ちょっとだけ魔法使っちゃいましたもーん♪」
大きく開かれた胸元を隠すべく
リボン飾りを施したチャイナドレス
「へえ。チャイナドレスも似合うな、リリエル♪」
警備していたウエスターレンも、嬉しそうに会話に加わる
「…だがやはり、デコルテと脚のラインは
堂々と出すべきだ。俺もイザマーレに同意する」
「もう!て…手の平サイズなんですから…
恥ずかしいです(*/ω\*)」
真っ赤になって俯くリリエル
「大丈夫!可愛いし、そそられるから」
口を揃えて断言するイザマーレとウエスターレン。
「とりあえず、約束を破った悪い子は、お仕置きだな♪」
そのままリリエルを抱き寄せ、
パンデモニウム宮殿の回廊に無数にある
小部屋に連れ込むイザマーレ。
内心ではニヤニヤしながら
より一層警備に力を入れるウエスターレン
そんな会話の応酬すら、絵になる3魔に酔いしれる外野の中で
猛烈な嫉妬と怒りを隠そうともしない、女悪魔
直感で危険を察知したウエスターレンは、直ちに部下を手配させ
彼女の周辺を調査し始めた
その間も、小部屋の扉はしばらく消え続けた
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