「…聞いたか?ダイヤ。
あいつは本当にリリエルの事しか頭にないようだな。
お前の事など、片隅にも思っていない。
あんな奴の事など早く忘れろ。
私はいつでもお前の味方だ」
イザマーレとダンケルのやり取りに
聞き耳立てていたダイヤは、
リリエルだけに優しいイザマーレに落ち込むより
リリエルの事が気がかりだった。
すぐにリリエルの元に駆けつけた。
いつもなら屋敷の扉で出迎えるはずのリリエルが姿を見せず
途方に暮れていた。
そこへ、ウエスターレンが姿を現した。
「よぉ。どうした?」
「あの…リリエル様たちが戻ってこられたと聞きました。
リリエル様が心配で…会わせていただけないでしょうか」
様子の違うダイヤに気がついたウエスターレン。
「入れ。リリエルは中にいる。」
ウエスターレンに促され、一緒にリリエルの部屋へ向かう
リリエルは部屋で1魔、放心状態で座り続けていた
声をかけるのも躊躇われるような…
どんな時も微笑みを絶やさないリリエルが
ダイヤにも目を向けず、暗い顔をしていた
ウエスターレンがリリエルに声をかける
「リリエル?大丈夫か?」
「…長官…すみません、どうかなさいましたか?」
遠い世界からようやく引き戻されたように、
リリエルは気がついた。
「ダイヤが来ているんだが…どうする?」
「!……申し訳ありません、今は…」
ウエスターレンの後ろにいるダイヤに気がつくが、
目を合わせようともしなかった
(……リリエル様……っ)
ダイヤはそれだけで、心が抉られそうだった
そこへ、イザマーレがやってきた。
「リリエル…待たせたな。おいで…」
抱き寄せようとしたイザマーレに、涙を浮かべるリリエル。
「閣下…執務室のお仕事も、
お屋敷の家事もお休みしろなんて……
私は…何もお役に立てないのですか……っ」
イザマーレは穏やかにリリエルの髪を撫で、見つめ返す
「そんなわけないだろ?ミカエルとの外交交渉を
完璧に成功させたお前への褒美だ。
たまには羽根を伸ばして、ゆっくり休め。
吾輩も休暇をもらった。久しぶりのオフだ。
お前との時間を作るためにな」
「……っ…私のせいで、また閣下にご迷惑を…っ」
周囲もはばからず、泣き始めたリリエルに
ダイヤは更に驚いた
「いいから来い!命令だ」
意地を張り続けるリリエルを抱き上げ、
問答無用でプライベートルームへ移動した。
そしてすぐ、扉は消された
「…やれやれ。ダイヤ、すまないな。
あんな状況だから、リリエルに会うのは
しばらく経ってからにしてくれ。」
ダイヤはショックを抱えながらも頷き、立ち去った
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