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荒療治


数日後、ふと目を覚ましたダイヤ


うつ伏せに寝ていたのに気が付き、

顔を上げると背中に痛みが走り、枕に顔を埋め悶絶していた。


「ダイヤ…気が付いたようだな」

ダンケルが優しく語りかけた


「…陛下…ごめんなさい…また怪我しちゃった…」

申し訳なさそうにダイヤはダンケルを見つめた




 

「仕方あるまい。裕子を助ける為だったんだろ?」


髪を撫でて微笑むダンケルを見て、ダイヤは安堵していた


「まだまだ集中力に欠てるな…油断するなと前にも言った筈だが…」

ダンケルはニヤッとして言った。


まだダイヤがイザマーレと愛契約をしたばかりの頃、

ダンケルの指導の元で魔物と訓練していた時、

うわの空で大怪我をして、ダンケルに叱られた時の話を思い出した。


「…Σ(*゚Д゚*)」


やってしまった!という顔をしているダイヤを見て

ダンケルは微笑んでいた。


「集中力を養うために、お仕置きが必要だな♪」

ダイヤを抱き起こし、口唇を重ねようとする寸前に扉が開いて

イザマーレとリリエルを連れて裕子が入ってきた


「ダイヤ様~!お見舞いに来ました!」


ダンケルとダイヤはイザマーレ達を見て一瞬固まり誤魔化すように


「ダイヤ大丈夫か!?無理するなよ!」

ダンケルはダイヤの身体を擦る

「へ、陛下こそ!無理なさるな!痛!!…あいたたた…」

痛みが走り、悶えながら

ダイヤも焦ってよく分からない事を言っていた。


その2魔の行動にイザマーレは苦笑していた。

「元気そうじゃないか、ダイヤ」


「ほらぁ!ダイヤ様、無理しないの!」

リリエルは相も変わらずニコニコしている



 

そこにベルデが姿を現した


「ダイヤちゃん、どう?」

ベルデが鞄を置いて聞いた


「痛みは出ますけど…寝ていたからお腹空きました…」

ダイヤは恥ずかしそうに言った


「食欲有りそうなら大丈夫だね。じゃあ、傷見せてね」

巻かれた更科を取り去ると、傷が現れた

右肩から斜めに大きな傷が残っている。


裕子は真っ青になり固まった


「切られた日に傷口は閉じたから、

後は痛みが取れるのを待つしかないね。

まだ赤いけどその内に治るから。」


ベルデが魔力で治療しながら言うと

「…ですよね!」

笑いながら答えるダイヤ…


ダンケルはため息をつき、傷の様子を見ている。


「ダイヤ様♪もう!無理しないの!」

リリエルがダイヤを抱きしめる


「有難う!リリエル様!心配させました!」


ハグし合う後ろ姿のダイヤを見て裕子は驚いていた

「!!!!」

更科から少し見えていた傷が無くなっている。


リリエルが魔力で傷を消し去っていた。

全く気が付かないダイヤ…




 

リリエルはニコニコしたまま…裕子の心に囁いた


『ダイヤ様には、内緒ね!』


裕子は驚きながらも頷いた



(なっちゃんって…皆に守られてるんだな…

やっぱりリリエル様ってカッコいいし素敵だわ!!)


裕子はダイヤを見つめながら思っていた…







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