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魔宮殿


ダイヤは魔宮殿に赴き、陛下の元で魔力の実践をしていた

…しかし魔物と実践をしていても何処か上の空だった…

リリエルとイザマーレの事で頭の中がいっぱいになっていたのだ


「愚か者が!ダイヤ!真剣にやれ!お前!死にたいのか!」

ダンケルは強めの魔力でダイヤを吹き飛ばした

ダンケルには分かっていた。

ダイヤは何か気になることがあると集中力が欠けることを…


「……」

ダイヤはふらつきながら立ち上がった。

吹き飛ばされた時に肩から地面に叩きつけられ痛めた。

鋭い痛みが身体中に走り顔を歪めた


「隙があれば命すらなくなる。あれ程叩き教えただろうが!」

ダンケルは王座で睨みながら言った。



 

「…申し訳ありません…陛下」

痛みで涙が出るのを我慢しダンケルに詫びた


「…今日はここまでにする」

「…有難うございました…」

ダンケルに頭を下げふらつきながら魔宮殿を後にした。


痛みで歩くのも辛く、結構な時間をかけてイザマーレの屋敷に戻ってきたが

屋敷に着いた安心感で痛みも倍増し、屋敷に入った途端に気を失った



「…イザマーレ、ちょっといいか」

「?どうした、ウエスターレン」

リリエルが何度目かの眠りに落ちていた時、部屋を訪れたウエスターレン。

不思議に思いつつ、余程の事があったのかと訝し気に応じるイザマーレ。

「ダイヤが帰ってきたんだが、ひどい怪我をしていてな。

俺が診てやってもいいが…」

「!そうか、すまない…」


2魔の話し声に目を覚ましたリリエル。

「…閣下、ダイヤ様の元へ行ってあげてください」

「リリエル…」

イザマーレは戸惑うが、リリエルは微笑みを絶やさない

「閣下、大丈夫です。リリエルはここでお待ちしていますから」

「…わかった。すまないな。ウエスターレン、リリエルの傍にいてくれ。頼む」

そう言い残して、イザマーレは部屋を出て行った。


……

何時間経ったのか…


ダイヤが気が付くと、イザマーレの部屋のベッドに寝かされていた。

外は真っ暗になっていた


「気が付いたか?大丈夫か?」

声の方を向くとイザマーレが脇に座っていた


「……」




 


ダイヤは固まった...声が出ない変わりに涙が流れた

「ダイヤ?」

イザマーレの声に心がえぐられる思いだった。


「…なんでもありません…いたた…」

肩の痛みが残る

「腕が外れているな。実践で失敗でもしたのか?」

魔力で傷を癒してやりながら心配するイザマーレを見ることができない


「…もう…大丈夫ですから…リリエル様の所に行ってください…

寂しがっていると思いますから…私は…大丈夫です」

ダイヤは泣きながら言った。


ダイヤはずっと気に病んでいた

イザマーレとリリエルの逢瀬が限られた時間であることを。

そして自分が愛されれば、リリエルが泣いているに違いないと…


自分がそうだからだ。


後から入った自分が身を引かなければならないのは分かっていた。

でもイザマーレと離れたくなかった。

挙句の果てに、イザマーレに愛されているリリエルを妬ましく思う…

分かりきっていた事なのに…もう…耐えられない…

リリエルを悲しませる事は避けたい…でも…傍にいたい…


「何を言ってる?リリエルはそんな事を気にするような奴ではない」


「!」


「むしろお前を心配しているぞ。

今も、吾輩にお前のそばに行けと言ったのはあいつだ」


「!!…リリエル様が…」

リリエルに対し、絶対の信頼を寄せるイザマーレと、

自分を気遣うリリエルの心情を知り、ダイヤはさらに驚く。




 

「……閣下…お願いが有ります…」

「なんだ?」


「…私を抹殺してください…閣下の手で…お願いします…

私は髪に座る立場ではなかった…身を引きます…最期の願い聞いてください!

閣下の腕の中で殺してください!」


泣きじゃくるダイヤを見てイザマーレは固まった


「何を言い出すのだ!ダイヤ!」


「…閣下の事を愛しすぎて耐えられないのです…閣下…申し訳有りません…

閣下が聞き入れてくれないのであれば、陛下にお願いするのみです」

泣きながらダイヤは瞬間移動で消えていった


イザマーレは動く事さえ出来なかった…



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