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魔対応


姿を消した後は花火大会の席取りの為、テントなどを貼り

念の為に結界も厳重に貼り付けた。

花火大会までは、各自、自由時間。


テントの中にはダンケルの横でウトウトするダイヤ

その前にあるパラソルの下で酒などを飲み盛り上がる 

イザマーレ、リリエル、ウエスターレンの3魔と

ベルデ、裕子が昔の話で花を咲かせていた。




 

裕子がベルデと焼きそばを買いに出掛けた時、

屋台の近くに居た男性に声を掛けられた。


「たしか…バンドでやってた方ですよね?」


裕子は振り返った。

まだダイヤが人間だった頃

よく一緒に居ると聞いて写真も見せてもらった事もあった。


「…貴方は…」

裕子が引きつり言った。



「なっちゃんと話がしたい。今、どこに居る?」

相変わらず上から目線…


「…へ〜会いたいんだ。いいんじゃない?会わせてあげても」

何かを感じ取ったのか、ニコニコしてベルデは微笑む


「え?…でも…今は…陛下と一緒で…」

裕子が焦って言ったが…

「君は会いたいんだよね?何がなんでも…」

裕子の話を遮るように言った


「和尚!この人は…」


「あんた話がわかるじゃん」

男はニヤニヤして裕子を見る。


「但し…何があっても責任は取れないからね?

それだけは覚えておいてね」

ベルデがついてくるように促し歩き始めた



 

その頃、テント前で酒を飲んでる悪魔達の前に現れた目玉蝙蝠

イザマーレが差し出した指に乗り、羽を休めている。

ベルデが手配した目玉蝙蝠…

伝達を聞き終え、ウエスターレンと目配せしてニヤッと笑った。


「…何やら楽しそうじゃないか…

ダンケル、聞いたか?早くダイヤを起こせ♪」

ウエスターレンはテントの中にいるダンケルに声を掛けた


「…面白い…こっちから会ってやろうではないか…」

ダンケルがクスクス笑ってテントの中から言っていた


「ダイヤ様の元彼?私も会いたいですー」

リリエルが目を輝かせて言っている


「リリエルはイザマーレと留守番な。映像送ってやるから(笑)」


「ウエスターレン、お前も留守番してればいいではないか?」

ダンケルがため息混じりに言いながらダイヤを起こした


「ダンケル陛下を護衛しないとならないしな♪」

いつもなら絶対言わないウエスターレンの台詞…


イザマーレ、リリエル、ダンケルの3魔は一斉に心で呟く


『完全に面白がってるな…』



 

ダイヤは寝ぼけながらテントから出て来た。


「…おはよーございます…すみません…寝ちゃって…」

眠たそうにダイヤは呟く


「ダイヤ、おいで。」

ダンケルに肩を抱かれ歩き出した。

ふと横を見るとウエスターレンもニヤニヤしながら

ダイヤの横を歩く


「???」


大魔王と紅蓮の悪魔に挟まれ歩いているが…

どこに行くのかも検討もつかなかった

そのうちに前からベルデと裕子が歩いてきた。



 

ダンケルは冷徹な笑みを浮かべて立ち止まった


「じゃあ、後は宜しく〜!裕子ちゃんは残ってなよ。」

ニコニコして歩き去るベルデ。

心配そうにダイヤを見つめる裕子


「陛下?どうしたんですか?」

ダイヤは何が起こるのか分からず聞いた


「よぉ久しぶり」






 

ダンケルの顔を見ているダイヤの顔が一瞬にして怖ばった

思い出したくもない声…震えまで来ていた。

ダンケルはダイヤの髪を撫で安心させる様に微笑んだ

「……」

ダイヤはダンケルの腕にしがみつきながら振り返る。

やっぱり…アイツだ…当時の嫌な記憶と恐怖が蘇る。


「…私の妻が昔は世話になったようだな?礼を言うぞ」

ダンケルは冷徹に微笑みを浮かべた


「はぁ?妻??お前、遊ばれてんのか?」

男は笑い飛ばしながらダイヤに言った


「…相変わらず…最低だわ」

そう言いながら恐怖から抜け出せず、震えが止まらなかった


「…ダイヤ?お前は魔界で残酷な場面も色々経験しているのに

何を震えているのだ?たかが人間ごときで…

まぁそんな所も可愛いんだけどな…帰ったらお仕置きだな💕」


「…陛下…?お仕置きされちゃうの?私…💕」


やっとダイヤはニコニコしてダンケルに抱きついた。




 

「……遊ばれてんの分かってないようだな?馬鹿な女だ」

全く気にしなくなったダイヤを見てイラついて毒を吐く男


「愚か者だな…貴様は…手放して後悔してるのか?

もうコイツは私の大切な后だ。

貴様など私が処刑してやっても良いのだぞ?

どうやらかなりダイヤを泣かせた様だからな?」

ニヤッと相手を見つめるダンケル。


「ダンケル…人間相手に面倒を起こすなよ?」

ウエスターレンは煙草を取り出しながら言った



「…私は魔界を総括している陛下を愛してるの💢

生涯ついて行くって決めたの💢

誰が何を言おうとも陛下だけなのよ。

あんたに遊ばれてるとか言われる筋合いはないわ💢

私を守ってくれる大切なお方なの💢馬鹿にしないで❗」

怒り任せにダイヤは怒鳴って言っていた


「……」

唖然として男はダイヤを見ていた


ウエスターレンはニヤニヤしてダイヤの頭を撫で

「今の言葉…忘れんなよ?イザマーレも聞いてるぞ?」

「……( ゚д゚)ハッ!」

ダイヤは顔を赤くしてウエスターレンを見ていた


「良く言えました〜😆大儀であるぞ、ダイヤ。愛してるぞ💕」

ダンケルも抱きしめて頬にキスをした 

「陛下…お慕いしております💕💕💕」

完全にダンケルとダイヤの2魔の世界になっていた。


「はいは〜い。見せ付けるのは終わり〜戻るぞ?」

ウエスターレンは2魔の世界を遮ってニヤニヤしていた



 

「長官〜!閣下とリリエルだけ留守番ってずるいです〜」


急に姿を現したイザマーレとリリエル…。


男は振り返り、驚いていた


「あ!!さっきステージで、可愛いMCしてた子だよね!!

なっちゃんと一緒に…」


「あら♪お恥ずかしい(´∀`*)ウフフ」


ニッコリと微笑むリリエルに、思わず男は頬を赤らめ

堰を切ったように話しかけてくる

「あの時俺、精一杯叫んだよ♪名前なんて言うの?俺はね…」


「教えてくださらなくて結構よ。

どうせ忘れてしまうし、覚える気もないから💕」


バッサリ切り捨てるリリエルの言葉に、

口元を手で隠し、吹き出しそうになるのを堪えるイザマーレ


「私の名前を尋ねるなんて、身の程知らずもいい加減になさいませ」

リリエルはクスクス笑って男に近づく

「可愛らしいダイヤ様だからこそ、

あなたのようなクズでも律義に相手にしたかもしれないけど

誰も本気であなたを愛せる人なんか、いないと思うわ。」


「!! 何だと?!」


リリエルの容赦ない辛辣な言葉に、

男はいとも簡単に本来の気性をさらけ出す


「これ…お近づきのしるしに…

名前を教えない代わりに差し上げるわ♪」


リリエルは潰した種の粉を袋詰めにして男に手渡す


「お茶と一緒に溶かして飲むのをお勧めするわ。

木偶人形になりたかった夢が叶うチャンスよ☆彡」


「お!それなら焙煎してやるのが良いだろう。

囁かだが、協力してやろうな♪」


「ひっ…うわぁっ…!!」




 

含み笑いをしながら、ウエスターレンが呟いた途端

男の手の上で粉の袋が炎上し、恐れ戦いた男は震え上がる


「リリエル、そろそろいいだろう。戻るぞ」

イザマーレがリリエルを呼んだ

「あ、は~い♪…やり過ぎちゃいましたか?」

「別に構わないだろう。調子に乗ってお前への暴言。

その時点で、あいつの処遇は決まったからな(笑)」


「(´∀`*)ウフフ…あんなクズ男のために

閣下の手を煩わす必要ありません!!

リリエルがいくらでも対処しちゃいますよ♪」


「相変わらず最強だな…」

ダンケルは引きつり呟いた。


腕を組み、嬉しそうに話すダイヤとダンケル。

イザマーレの隣でリリエルと裕子が種の話で盛り上がるのを

ウエスターレンがニコニコと見守りながら歩いて行く




その後ろ姿を男は無言で見送っていた






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