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動き出す


プエブロドラドで開催された黒ミサに

雷神帝夫婦が臨席されてから数か月が経っていた。

信者たちも、やっと熱が収まってきていた。


長い旅を終え、イザマーレたちも屋敷に戻っていた。


いつもの日常を取り戻りつつある中、ダイヤは村の巡回をしていた。

黒ミサ後は、いつもより一層穏やかで有難い。

会う信者ともミサの話で盛り上がったりしながら

巡回も終わり警備室へ戻ろうとしていた。


「ダイヤさん、こんにちは~!」

後ろから声がかかり振り向くと、黒ミサの時、ラァードルの横で

恥ずかしそうに雷神夫婦と挨拶を交わしていたスプネリアが

ニコニコして立っていた


「あら!こんにちは~!ミサの時はお疲れ様でした~!

楽しかったね!」

ダイヤも微笑んで答えた。


実際にはじっくり話をしたこともなかったが、

あの時、スプネリアを見て可愛い子だなと思っていた。


「ミサ終了後、陛下にもダイヤさんにもご挨拶できなくて…」

申し訳なさそうに言ってくる。


「嫌だなぁ~!大丈夫だよ~(笑)」

ダイヤも笑ってスプネリアと話し

それから巡回中、会う度に話すようになっていった


…………


それから数日後…

「ダイヤさん…今、大丈夫???」


ダイヤが警備室で業務報告をPCに入力していると

スプネリアが扉の所から顔を覗かせていた




 

「スプネリアさん?どうしたの?」

入るように促し座らせお茶を出した


「…相談があってね…」

スプネリアは話し始めた。


ラァードルと話をしていて、

人間界で今、天災で被害を受けている地域が有ると

聞いたとの事だった。スプネリア自身も、人間の頃

天災にあった地域にボランティアとして活動をしていたと言う。


「…天災は人間の力ではどうすることも出来ないからね…」

ダイヤもお茶を飲みながら言った


「でね、私…人間界に行ってボランティアをしたいの…」


「…え?ボランティア???」

驚きながら聞き直した


「人間界でお世話になった地域だし、恩返ししたいんだ。

でも、勝手に行く事は出来ないし…陛下の許可も必要でしょ?

でも…陛下と話したこと無いし…

先にリリエル様に話を聞いて貰いたいなって…

他に話したい事も有るし…」


スプネリアはある事を考えながら言っていた


「…リリエル様なら陛下より話しやすいよね…確かに…

てか、陛下そんなに怖くないよ(笑)」

ダイヤはケタケタ笑って言ったが…


大魔王陛下ダンケルの冷徹に殺める恐ろしさを

充分に知っているのなら怖くって近寄れないのだろう…


そう感じたダイヤ


「…分かった!リリエル様の所へ行こう!

送ったらリリエル様と2魔と話せば良いよ」


ダイヤが直ぐに連れてってくれる事に安堵した。


実は、リリエルとボランティアの他に

重要な話をしたいと思っていたのだ…



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