「…ん、んんっ……」
魔界の森のお茶会を終え、屋敷に戻った2悪魔。
すでに空には満天の星。
イザマーレは寝室でウエスターレンの腕に包まれ、甘いキスを享受する。
あれからいつもこうなのだ。毎夜毎夜、ご丁寧に
甘いキス。吾輩を腕に抱き込み、優しく髪を撫でる。
(べっ別に頼んだわけでもないのだが…)
ウエスターレンの腕に包まれる心地良さに抗えず、
イザマーレも甘えているのだが。
あの時、ウエスターレンは「好きにする」と答えた。
例の疫病で習慣化したリモートワークなどというものを取り入れて、
屋敷の中で情報局全ての仕事をこなすようになり、
「それは便利だね(^^♪」
と喜んだダンケルにより、副大魔王の執務室も隣の部屋に設えてしまった。
長く甘いキスを終え、優しく見つめながら
「…さっ、お前も今日は疲れただろ?もう寝ろ。おやすみ、イザマーレ」
…これもいつもの事なのだ。
吾輩が眠りに落ちた後、その日の仕事をこなす為に、そっとベットを抜け出す。
分かっている。それもこれも、吾輩を気遣ってる、という事くらいは。
ウエスターレンが戻ったばかりの頃、
吾輩はまだ眠れない夜が続いて、散々迷惑をかけた。
だが、最近はそうでもない。
毎夜の儀式のようなこの時間も、きっと、そのためなのだろう。
髪を撫でつけ、最後のキスをしようとする
ウエスターレンの顔をむんずと挟み込み、
イザマーレはウエスターレンの口唇を奪う。
「うわっ」
気を抜いていたウエスターレンは驚き、組み敷かれた。
「…っ、どうした、いきなり」
「…た、…たまには朝まで一緒にいたって良いじゃないか!」
そう言って、またキスをする。
「…ちょっ、んっ、ま、待て!」
面食らいながら、慌てて止めるウエスターレン。
「…お、落ち着けよ、どうした?」
(ま、まだ分からんのか!このオタンコナス!!)
「いったい、いつまでキス止まりなんだ!
…わ、吾輩、……そんなに……つまらんのか」
最後は照れて、小さくなる声が可愛い。可愛いのだが、これは……(汗)
イザマーレの可愛い要求を、とっても正しく理解したウエスターレン。
「…お前、明日も生放送だろ?いいのか?また朝まで眠らせねーぞ?」
「……」
すっかり照れて、背を向けるイザマーレ。
まったく、どこまでも愛らしい大悪魔だ。
だが、ある事を思いついたウエスターレン。
背を向けたままのイザマーレを背後から優しく抱きしめ、耳元で囁く。
「…そういう時は、どうすれば良いのか、教えたろ?」
「!…///////」 さらに顔を赤く染めるイザマーレ。
そう、こいつは夢幻月詠。
あらゆる言葉がどこに影響するか計り知れず、気を配るあまり、
自分の欲求だけは素直に言えないんだよな。
だが、そういうお前のために、ある事を思いつき、教えこませたことがある。
それは遠い昔。
夜な夜な、人間の姿でデートをし、
写真に撮られたことも1度や2度ではない。
金髪の美女とまで言われた時は大笑いしたもんだ。
そうやって、みんなにバレないよう(ほんとか?by作者)、
こっそりと付き合っていた頃に。
他の何にも影響せず、かつ、この俺が一番お気に入りの単語を。
唇まであと数センチまで近づき、
さらに問いかける。
「ほら、そんなにキスが欲しいなら言ってみろ」
恥ずかしさのあまり、涙を浮かべるイザマーレ。
その瞳に映る悪魔を秘密の呼び名で呼ぶ。
「…………レン」
フッと笑い、キスをする。そして、そのまま愛し合う。
「…よくできました」
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