「!!………」
目の前で扉を消され、落ち込み、座り込んで泣き続けるダイヤ。
イザマーレにもっと愛されたい、その想いに囚われ
その感情のみで動いた結果、決定的に嫌われ
挙句の果てに、リリエルとイザマーレが
より強い愛で結ばれる結果になってしまった
リリエルがイザマーレの妻であることを秘密にしたまま、
自分と関係を持ったイザマーレが許せなかった
それなのに、イザマーレに、もっと愛されたいと望んでいる
そんなダイヤ自身が許せなくて苛立つ感情を、
そのままイザマーレにぶつけてしまったのだ。
後先も省みず……
一時的な甘えや暴走が、どんな代償をもたらしたか
ダイヤ自身が身を持って痛感することになるのは
もう少し後の事……
この時はただ、イザマーレに怒鳴られたという衝撃、
そして、自分以上に愛され、大事にされるリリエルへの嫉妬で
打ちのめされていたダイヤ。
数分前に抱いた、リリエルに対する気持ちは忘れ
たった数時間前に、自分がイザマーレに言い放った言葉すら忘れ……
「鬱陶しい奴だな。だから、話をしに行くのは待てと言っただろう?
ダイヤ、立て。こっちに来な」
座り込んだまま泣き続けるダイヤを
ウエスターレンが見かねて、自分の部屋へ連れて行く
「俺は、お前がリリエルを妬む気持ちは分からなくもない。
だがお前は、目の前で愛する者を奪われる気持ちは分からないだろう。
お前はイザマーレに自分を抹殺しろと容易く告げた。それが何よりの証拠だ。
お前のつまらない拘りが、あいつの積み上げてきた苦労を台無しにした。
それがどういう事か、まだ分からないのか?」
「!……」
落ちこみ、俯くダイヤ。
「生きているなら奪い返せばいい。だがそれさえも無理だったら?
お前に想像できるか?
当たり前に思っていた日常が突然奪われる悲しみを…
傷ついたLilyelを慰める機会さえ奪われた
イザマーレの気持ちなど、お前に分かってたまるか!」
熱くなり、涙をこらえるウエスターレンにダイヤは驚く。
「長官は、なぜそこまで、リリエル様を愛する閣下に寄り添えるのですか?
私には無理です。本当に情けない…」
「俺がその生き証魔だからだ。
目の前で囚われたイザマーレを救えず、手をこまねていたのは俺だからな!
あんな思いだけは二度と御免だ!」
…そしてあかずの扉で見送ったLilyelの姿を思い返すウエスターレン
(イザマーレのためならば、命を投げ出すことすら
笑顔で受け入れたリリエル…
幼い嫉妬で暴走するダイヤのために
イザマーレを助けることなど、朝飯前だろう…)
「分かったら、泣かずに待て!
そんなに時間はかからないさ。リリエルのことだからな♪」
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