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扉の行方


魔界に移住する事を許された裕子


数日経った頃、

魔宮殿の中を見学したいと思い

ダンケルのプライベートルームに居るダイヤを呼びに向かった。


「…あれ?ここだったよね…?」

裕子が立ち止まって呟いた。

あるはずの扉が無くなっていて壁になっている


「???間違えた??」


宮殿の中は同じ扉も多いが…

ダイヤにきちんと案内されていたので間違えは無いはず…


裕子は壁に手を置いたりして不思議に思っていた。


その横を魔宮殿の使用魔が通りがかり、頭を下げた


「あの…!」

裕子はその使用魔に声をかけた。


「はい。何か御用でしょうか?裕子様」

使用魔は立ち止まり、笑顔で答えた


「あの…なっちゃん…いや、ダイヤさんに

ここが陛下のプライベートルームと案内されたんですが…

扉すらないので…???」

不思議そうに壁を見つめ、首を傾げる裕子


「あぁ(笑)確かに陛下のプライベートルームですね♪」

使用魔は、クスクス笑って咳払いをした




 

「…扉が何で消えてるんですか?

ダイヤさんに会いに来たのですが……」


「え…っとですね…」



答えに困り果てる使用魔は目を泳がせたが…


「今、陛下とダイヤ様は、愛を語り合ってる最中ですね(笑)」

使用魔は上手く交わせたと含み笑いをし、頷きながら答えた


「愛を語るだけで??話をするだけで扉を消すの???」

裕子は益々首をかしげている。


苦笑いする使用魔

「実は……なのですよ♪」

裕子の耳元で囁いて、真相を伝えた。


「そ、そうなんですかぁ!!マジか!」

裕子は真っ赤になりながら使用魔を見つめ

響き渡るほどの大きな声で言った


「フフフ…一度扉を消したら当分現れませんよ?

裕子様、何か私が出来る用事ならば、

仰って頂ければ御用をお伺いしますが?」

使用魔はニコニコして裕子に言った


「…あの…まだ魔界に来て良く分からない事ばかりで…

なっちゃんが出て来ないなら、

副大魔王妃のリリエル様に会いたいのですが、

場所も分からないし…」


イザマーレとリリエルに会った時、リリエルからは

『いつでも屋敷に遊びに来てくださいね!』

と言われていた事を思い出した。


裕子も、リリエルとはゆっくり話がしたいなと思っていた



 

「それなら、私がご案内しましょうか?

今から買い物にも行くのですが、通り道なので。

一緒に参りましょうか?」


「良いのですか?じゃあ!お願いします♪」

裕子が嬉しそうに答えると、使用魔も笑顔になった

使用魔と一緒に歩きながら、色々な話に盛り上がっていた


「裕子様、こちらが閣下のお屋敷になります!

私は買い物して宮殿に戻ります。お帰りの際は気を付けて…」

使用魔は頭を下げて市場へ向かっていった




 

「大きなお屋敷だわ…凄いな…」


屋敷の扉も大きい。人間界でも金持ちそうな家はあるが…

敷地といい、門構えといい、見たことがないほどのスケール


裕子がドアの前に立つと、中からウエスターレンが出てきた。

人間の気配に気が付いたウエスターレンが、

不思議に思い確認する為だった


「!!あの…」


ウエスターレンと間近に会うのは初めてだった。

裕子は緊張しながら話しかけた


「あぁ!君はダイヤの友人だったな?

イザマーレ達に聞いてる。移住したんだってな?あれ?

ダイヤは一緒じゃないのか?」

ウエスターレンはニコニコして裕子に言った



 

「はじめまして!裕子と言います!

あの…なっちゃんは陛下と宜しくしていて…出てこないので

リリエル様に会いに来ました。リリエル様はいらっしゃいますか?」


「宜しくしてんのか(笑)リリエルか?…えっとな…」

ウエスターレンも言葉を濁す


「リリエルもイザマーレと扉消しててな…

多分、数週間は出てこないんだよな…」


更に驚き言葉を失う裕子

ウエスターレンは困った顔をしながら笑っていた


「あ、そうだ!裕子にお願いしてもいいかな?

どうせあいつらも当分出てこないだろうから…」


「???なんでしょうか?」


「この屋敷には使用魔が一名も居ないんだ。

リリエルが全て家事をこなしているからな。

頼む!飯作ってくれないか?

リリエルが出てくるまでの間で良いから!」


ウエスターレンが恥ずかしそうに裕子に言った


「え!?ご飯ですか?長官はリリエル様が出てくるまで

何も食べてないのですか???」


「いや…俺の仕事柄、忙しくて作る暇がないんでな…

お願い!飯作って!!」

八重歯を見せて笑顔でお願いされた裕子。


「私ので良ければ…」

と笑顔で答えた…




 

数日後、ダイヤと裕子はイザマーレの屋敷に呼ばれ

リリエルと女子トークで盛り上がっていた。

途中からイザマーレも話に加わっていた。


イザマーレはリリエルの髪を撫でながら話を聞いている。

超ご機嫌だった


「長官から聞きました。裕子さんいらっしゃってくれたのに…

閣下にも駄目だって止められて…(笑)ごめんなさいね」


申し訳なさそうにしているが、リリエルは常に微笑んでいる


「なんだぁ、リリエル様も扉消してたんだ(笑)」

ダイヤはニヤニヤして話した


「ダイヤ様だって最近、数週間くらいは

扉を消すのが多くなってるって…知ってますよ♪

もう!!陛下とラブラブなんだから~!」

リリエルもにっこりと笑顔で言ってくる


「いやいや…リリエル様と閣下の最長記録は2年ですからね~(笑)

生き血祭りの時は…私は無理~!(笑)身体が持たないもん!」

ケタケタ笑って言ってるダイヤ


「あれ?長官は一緒では無かったんだ?

ゆうちゃん、リリエル様は閣下と長官とも一緒の時もあるのよ…実は

Ψ(`∀´)Ψケケケ 長官もリリエル様が好きだから~!

もう本当にケシカランですな!幸せ者!」

ニコニコして ダイヤはお茶を飲んだ。


裕子はドン引きして苦笑いを浮かべた


「ダイヤ、お前もミカエルとしょっちゅうだろ!」

イザマーレが突然言い放った


その途端ダイヤはお茶を吹いた。咳き込みながら…

「な、な、な、!!毎回だけど…やっぱり知ってたのかぁ!!」

ダイヤが真っ赤になるのを、裕子は目を細めじ~と見ている。




 

更にリリエルが畳みかける


「ええ~!!!またぁ?(笑)

旅の後、長官はずっと忙しくしてるし、

閣下にお仕置はたまにされるけど、

炎のお仕置は全然してないよお?いい子にしてるもん♪

ダイヤ様、まさか今も毎回?(・∀・)ニヤニヤ」


ダイヤは真っ赤になって俯いている


「なっちゃん…そうなの?陛下によくバレないね(汗)」


「いや、陛下もご一緒だ」


裕子が唖然としているのを見て、含み笑いをしながら

イザマーレはダイヤを再びいじり倒していた…


そこに姿を現したウエスターレン

「お!裕子来ていたか(^-^)この前はありがとな♪」

ウエスターレンは微笑み、裕子に礼を言う


「ウエスターレンが世話になったようだな」

イザマーレもウエスターレンを見て微笑む


「まあ、腹が空いたら何か作ればいいんだが、

正直イザマーレの顔見ないと、食欲もわかないんだよ(笑)

ただでさえ食欲落ちてる時に、まずい飯食いに行く気にもならんし…

この前はいっぱい作ってくれたな♪美味しかった。

あ、でも俺、量はそんなに要らないぞ?

ほとんど食欲は性欲で満たしているからな♪」


ウエスターレンもニヤニヤして言った。


(…物凄くすげぇ~世界に足を踏み込んだな…

気持ちが追い付かない(^_^;)これも慣れなのかな???)


めちゃくちゃドン引きしながら、漠然と思っていた裕子…




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