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曼殊沙華


複雑な感情を抱きながら屋敷に帰ったイザマーレの様子に

リリエルとウエスターレンは気が付いた


「おかえりなさいませ♪」

リリエルはいつものように微笑み、イザマーレに抱きつく。

「……ただいま…」

イザマーレもリリエルの髪を撫でて微笑みかける。


「イザマーレ?どうしたんだ?

ダンケルにまた何か変なこと言われたか?」

ウエスターレンに言われ顔をあげた


「……明日ダイヤを殺めろと指令があってな」


「!?」

リリエルとウエスターレンは固まった


「どうやらダイヤの死期が迫ってるらしいな。

人間界に戻す行為を怠り、魔界に居続けさせたのが原因だろう。」


「ダンケルの奴!さんざん甘やかしておきながら、

死ぬって分かったら見捨てるのか!?あの野郎…」


「閣下。それでしたら……」

リリエルはある事をイザマーレに提案した。

「……それは…つまり」

話を聞いたイザマーレは戸惑うが


「はい!思う存分ダイヤ様を殺めてあげてください!

リリエルからのお願いです♪」


「…そうだな。リリエルが言うのなら、そうしよう。

報酬はもらうぞ?いいのか?」


「ふふっもちろんです♪

リリエルはいつでも、閣下を愛しておりますよ」

リリエルは喜んでイザマーレに飛び付いた


「リリエルのおねだりに弱いな…イザマーレ…」

ウエスターレンもため息をつきながら笑顔になった


そんな彼らの心を照らし寄り添うかの如く、

魔界の夜空に星がきらめいていた。



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