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永訣の朝


最期を迎える朝が来た…ダイヤは目を覚ました。でも…何かが違う…

部屋を見渡し気が付いた…忘れようとしても忘れられない…

かつてイザマーレと愛契約を交わした部屋に居たのだ


「…ここ?処刑場って…」

ダイヤは呟いた。最期の最後にここで消滅…

それもいいかも…思い出がある部屋で迎えるのも…

そう思いつつベットに座った。

だが、まもなく現れた刺客を見て、ダイヤは固まった




 

「…閣下…」


唖然としているのも構わずに

イザマーレは金色の剣を抜き剣先をダイヤの首筋に当てた


「陛下の厳命だ。お前の命差し出してもらう」


「……」


一番辛い最期の迎え方だ…ダイヤは目を反らした。

勝手に涙が流れる…別れてから数年…

心の片隅で忘れられずにいた愛しい悪魔に今、殺められる…


「今更泣いても無駄だ。最期に言いたい事はあるか?」

イザマーレは冷ややかに言った


「……有ります」

イザマーレは剣を下ろしダイヤを見つめた


「…閣下…今までの無礼、申し訳ありませんでした。

今の今まで謝る事すら出来ず…

おまけにリリエル様と対抗しようなど…愚かな考えでした…」


激痛が走り始め身体を押さえた。

痛みを堪えながらダイヤはイザマーレを見つめる


「…閣下…心から…愛してました…また許される事なら

生まれ変わっても…お側に…居させてください」

ダイヤは笑顔で言ったが痛みでうずくまった


「苦しそうだな。ダイヤ、楽にさせてやる」


イザマーレは無表情のまま、ダイヤの腕を掴み

起き上がらせ剣先を首にあてがう。



「最期にお願いが…閣下の腕の中で死なせてください…

最期の我儘を…聞いて頂けませんか?」



 

ダイヤは痛みをこらえながら言った

激痛の痛さなのか怖さなのか分からないが震えが止まらなかった


「そろそろ潮時だ。ダイヤ、さらばだ」


イザマーレは剣を突き刺した。

だがその瞬間、体中の痛みが消えた。


「…?」


不思議に思うダイヤに、イザマーレが不敵な笑みを浮かべる。


「お前はたった今、死んだ。

それにより、身体を蝕んでいた痛みからは解放された。

これより数時間は、魂へ昇華するまでの時間となる。

最期にもう一度、お前の望みを聞いてやる」


イザマーレはダイヤを抱きしめ、囁く。


「何も恐れずに旅立てばよい。

吾輩はいつでもお前を見守っている。永遠にな…」


優しく口唇を重ね合わせ、身体を重ねた。

何度も絶頂を迎え、意識が飛ばされるまで抱かれ続けた…



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