2022年3月9日公開作品
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珊瑚の絆
寒い冬も峠を越え、春先の柔らかな陽射しに包まれる時候
人間界と同じく魔界も、年度締めの慌ただしさで
相変わらず多忙を極める副大魔王
お茶を差し出しながら、チラッと表情を窺うリリエル
「? どうした?」
リリエルの視線に気がつき、手元の書類から目を離さず問いかける
「///…あ、いえ…すみません。」
イザマーレの執務を妨害する行為はご法度。
とはいえ夫婦なんだから、少しくらいプライベートな会話をしたって
誰に責められるものではない
「別に構わない。なんだ?」
手元の契約書をトントンと揃えて脇に置き
リリエルの淹れたお茶を味わいながら、改めて向き合う
「…もうすぐじゃないですか?今年は何か
お考えなのかな…って…//////」
言われて初めて、今が何月の何日なのか確認し始めるイザマーレ
「! もう、そんな日数が経っていたか…💦」
思い至り、改めて考え始める
「///前回は、閣下が素敵すぎるお呪いを御用意してくださって…
私も何か、喜んでいただける事が出来たら良いな、と思うのですが」
「…そうだな。別に構わないぞ。
今回は、吾輩とリリエルの2魔で考えても良いよな」
「///で、でも…閣下と長官のお邪魔をするわけにはいきませんから💦」
「(笑)別に良いじゃないか。何度も言うが
ウエスターレンと吾輩の事で、お前が遠慮する必要はない。」
穏やかに微笑むイザマーレだが、
リリエルは納得いかないように俯き、口を尖らせてから
改めてチラッと見上げる
「///もし…お許しいただけるなら、アイディアだけ…
私と連名でも良いと仰っていただけるなら、構成員の皆さ魔と一緒に…
というのはどうですか?」
「最高魔軍で、ということか?…そうだな。」
「やはり私は、悪チンツアーで長官が復活してくださったこと
本当に嬉しかったんです(*´艸`*) だから、ミサの時のように
構成員の皆さ魔がステージ上で、ケーキでお呪いされる姿を
見てみたいなって…//////」
リリエルの吐露する思いに静かに耳を傾けながら
微笑み、髪を撫でるイザマーレ
「人間界では、結婚した夫婦の歴史に合わせた呼び名があるんですよ♪
4年目は花、5年目は木、30年目は真珠…」
「! ほう…それでは37年はどうなる?」
興味を示したイザマーレに、リリエルは少し困ったような表情を浮かべる
「…キリの良い数字ではないようで…
その年数に当てはまる呼び名はないのです
ですが、35年目から40年目までは、『珊瑚婚』と呼ばれています」
「なるほど…今の我々にはぴったりだ、という事だな?
その呼び名の意味は?当然あるんだろ?」
イザマーレの返しに、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべ
頷くリリエル
「はい。うろ覚えかと思い、調べ直したんです♪そしたら…」
…長い時間をかけて育まれた夫婦の絆を
海の中でゆっくりと時間をかけて成長する珊瑚に見立てて…
「構成員の皆さ魔、個々の素晴らしさと
時をかけて熟成される絆による尊さ…全てが噛み合わさって
生きる伝説となる…まさに、最高魔軍そのもの…と思って(*´艸`*)」
「確かにな。しかしお前は…本当に最高魔軍の事が好きだよな(笑)
時々、複雑な気分になるぞ」
「…えっ?」
思わぬイザマーレの言葉に、キョトンとするリリエル
(吾輩も、それくらい手放しで褒められたいだろうが!!)
(…!…//////)
脳内に届いたテレパシーに、真っ赤になってから
じ~っと見るリリエル
「はいはい。吾輩も、リリエルの案に乗っかろうと思う。
それなら、Lily‘sも集めて皆でやるか♪」
「! はい♪キャー(≧∇≦)絶対、素敵~💕」
イザマーレの提案に、飛び跳ねる勢いで喜ぶリリエル
魔界の東
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