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緑の願い


ダンケルにウエスターレンの活動の許可を貰うため、

ベルデは事前に目玉蝙蝠に手紙を託した。

そして今日、ダンケルに呼ばれ魔宮殿に向かったベルデ。


いつも魔宮殿の庭は薔薇とラベンダーに囲まれ手入れが行き届いている。

ゆっくり進んで行くとやっと宮殿の玄関扉が見えた。


着くなり執事に案内され、大きな扉の前にベルデと執事は立っていた。


「陛下がお待ちになられています。

何か御用がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」

ベルデに深々と頭を下げ執事はその場を後にした


ベルデはノックをしてダンケルから返答を待って部屋に入った。

ダンケルは優雅に紅茶を飲んでベルデに微笑みかける。


「やあ、ベルデ。昨日の作戦は見事に上手く行ったようだね」

「イザマーレにとっても、僕達にとっても、極自然な事ですから」


「ふん。ところでベルデ。あの 2魔が丸く収まれば

世の中の天変地異、また疫病といった災いが解消すると言ったな?」



 

「…イザマーレは知っての通り

この魔界において陛下に次ぐ実力者であり、夢幻月詠。

ウエスターレンも、魔界において、必要不可欠な存在。

この 2悪魔の不自然な別離。

これこそが、世を混迷に陥れている最大の原因です。」


「ふん。ならば、2悪魔が元サヤになれば、この星の安定は確保できるな」


「陛下の新しい趣味の活動もやりやすくなるでしょう」

「そうか。ならば良い。もぉちろん、いいよぉ 」

「…かしこまりました。ありがとうございます。」


「…おや?いつも冷静沈着なお前にしては珍しいな。

ベルデ。泣いているのか」


「…! 見間違いですよ」


「ふっ、まあいい。さ、早く行くが良い。演習場で

構成員たちが待ちくたびれているようだぞ」




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