やがてダンケルが即位し、魔界は安定期を迎えるが
誰もイザマーレの事を口にしない
イザマーレの犠牲を忘れたかのように、
ただ惰性で毎日を過ごす魔界の空気に、Lilyelは耐えられなくなる
毎日のように魔宮殿を訪れ、ダンケルに懇願するが聞き入れられず
それならば、自ら天界に行くと告げても、受け入れてもらえない
毎日のようにプライベートルームでイザマーレを思い、
食事も取らず、やせ細っていくLilyel。
どんな時も笑顔を絶やさず、Lilyelに愛されるイザマーレに対し
密かに抱いていた嫉妬
イザマーレがウエスターレンの本音に気がつかないわけがない。
だからこそ、託したのだ
傍に居られない自分の代わりに、Lilyelを頼むと……
(平時なら、Lilyelのことだけは
決して譲ろうとしないイザマーレなのにな。
分かっている。俺は今、お前のいない間だけ、
王子の代役を演じてやればいいんだろう?)
イザマーレのようにLilyelの髪を撫で、抱きしめるウエスターレン
だが、ウエスターレンまでイザマーレを忘れようとしているのかと
失望するLilyelはウエスターレンを拒み、笑顔を失う
ウエスターレン自身も、イザマーレの不在に耐えられず
時折、ベルデに悩みを打ち明けていた
ベルデも、イザマーレの不在という喪失感を身に染みて感じており、
唯一無二の、イザマーレの代わりになれる存在など
どこにもいないと痛感していた。
兎にも角にも、イザマーレを復活させること
これ以外に活路を見出せないとの結論に至る。
自分たちに失望したLilyelの視線に耐えられないベルデ
イザマーレを救うためならば、
命も投げ出す覚悟であることを知り
それこそが、イザマーレに力を与える原動力になると
確信したベルデは、苦渋の決断をウエスターレンに伝える
当然、受け入れないウエスターレン。
だが、イザマーレとLilyel、どちらも失いかけ
自我を抑え込むのも限界に近かった。
このままLilyelを自分の傍に居させたら、自制が効かず
より傷つけてしまうかもしれない
そんな恐怖心も抱くようになっていた
笑顔を忘れたLilyelの最期の願いに応え、
ベルデと協力してあかずの扉を開けてやった
見送る時、最期に振り返ったLilyelは、笑顔だった
「長官。ありがとうございました。
私の我儘に付き合わせてしまい、申し訳ありませんでした。
きっと私は、生きて帰れないでしょう。
でも、少しでも閣下のお役に立てるなら、
喜んでこの命、差し出すつもりです。
閣下が戻られたら、きっとお傍に寄り添ってあげてくださいね。
誰よりも長官の事を愛してらっしゃるのですから。
閣下の事を必ず幸せにしてくださいませ」
「ああ、約束する。」
それが、Lilyelと交わした最期の言葉となった…
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