リリエルがダイヤを訪ねてから数ヶ月経った頃…
久しぶりに魔界にあるイザマーレの屋敷を訪れていたリリエル。
「それにしても…どうして皆様
”飛ばされたのはひどい”と口々に言うのでしょう?
楽しんでると思ってたのに…試してみたくなっちゃいました♪
長官~お願いしてもいいですか?」
「よしリリエル、行け!」
ウエスターレンは笑いながら、リリエルを飛ばした。ポーン……
「キャー♪楽しい!ジェットコースターみたい。
ちゃんと着地できるし、面白いのになぁ……」
「!!!」
魔宮殿の王室に突然姿を現したリリエル。
ダンケルと、たまたま居合わせたベルデは唖然として固まる。
「陛下、そして和尚も♪お久しぶりです。」
「り…リリエルっ、何の用だ!!!」
ダンケルはあからさまに嫌そうな顔を見せる
「あら?ダイヤ様を奥様になさったのであれば、
片割れの私にもお声がかかるものとお待ちしてましたのに。
なかなかお呼び出しがないので、来て差し上げたのですよ♪」
「!」
「ダイヤ様を愛するということは、私も可愛がってくださるんですね?
てっきり嫌われてるかと思っていましたのに♪」
「ば、馬鹿野郎!その瞬間、魔界がふっとぶわ!!」
あわあわしながら、言い放つダンケルに、
リリエルはにっこりと微笑み返す。
「それは良かったです。安心しました。私もお断りですわ♪」
リリエルは静かに2魔の前に立ちはだかる。
「さて。魔界の最高峰に君臨される悪魔様方。
寄ってたかって、ダイヤ様を甘やかし、何をなさってるのかしら?
それに…『泣かせた』だの『雑に扱った』だの…」
ムッとするダンケル。だが、リリエルは気にせず続ける
「イザマーレ閣下をお責めになるなど、
筋違いもいい加減になさいませ。
あの方のお気持ちに、誰も寄り添おうとしないのですね。
忠告申し上げたはずですよ。
優しくすれば逃げる。
話そうとすれば、反発する。
真実を伝えれば落ち込む。
そんな彼女の幼い欲望に寄り添われただけなのです。
優しさから逃げたいのなら厳しさを。
反発するなら、打ち負かす…
甘やかされたいのなら逃げ場まで与えて…
ただ甘やかし、闘う気概も失わせるような、
自分よがりな情愛などとは
比べ物にならないのですよ?お分かりですか?」
リリエルは迷いもなく言いきる。
「…チッ…誰に物を言ってるのだ…全く…イザマーレにはお前がいるだろうが!
ダイヤは孤独にさせとけってことか?適当に遊ばせ、後はお払い箱にする。
イザマーレがどんな考えでダイヤを扱ってるのか、私には理解出来ない。
その行為をお前らが楽しがってるようにしか見えないが?
イザマーレの気持ちに誰も寄り添おうとしないだと?笑わせるな!
ダイヤの気持ちすらも寄り添うとしないお前らが言う言葉か?
甘やかしてる?逃げ場を与える?
お前にはウエスターレンもイザマーレも居るから
平気で言える言葉だな!」
ダンケルが怒鳴った
「まぁまぁ…ダンケル落ち着いて…2名とも…落ち着いて!
リリエルちゃんも…言いすぎだよ…」
ベルデが宥めるが、リリエルは引き下がらず、微笑みを絶やさない。
「…たしかに僕は、ダイヤちゃんを一方的に被害者だと
思い込んだかもしれない。
リリエルちゃんの言う事が本当なら、
イザマーレは彼女に意趣返しをしてただけなんだろうね。
ダンケルが甘やかした、というのも、事実なんだろう……」
「甘えたいのなら、陛下ではなく、素直に私を頼れば良かったのです。
私からダイヤ様に、そのヒントはお伝えしてあったのですから。
欲を出して、長官との時間まで邪魔だてしようとすれば、
雑に扱われて当然です。懲りずに何度も繰り返すので
てっきり好きでやってるのかと思っておりました」
「…なるほど………ダンケル、
ウエスターレンとイザマーレを邪魔するものは許さない
そうじゃなかったっけ?」
ベルデの言葉を受けて、ますます苛立つダンケル
「イザマーレはどうした!一緒に来たのではなかったのか!」
リリエルはひとつも動じず、首を傾げて微笑む。
「…閣下も忙しい方ですので…」
ダンケルとリリエルがバトルしている時…
イザマーレはある場所に居たのだ…
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