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花の攪乱


数週間後、婚姻の儀式開催に向けて、リハーサルが行われた。

パンデモニウム宮殿にて行われる晩餐会、そして舞踏会ともなれば

厳重な警備も必要とのことから

警備担当のウエスターレンの要請を受けたものだった。


イザマーレは、夢幻月詠として式典に花を添えるため

その準備に追われていた。

リリエルはイザマーレの傍でそのサポートを続けていた。


ダンケルとダイヤの要望に応じたドレスとタキシードを

王室御用達の衣装魔が仕上げ

この日、衣装合わせをすることになっていた。


ダイヤのドレス姿が楽しみで仕方ないリリエル


「リリエル。あとは、何点か確認事項を調整するだけだ。

疲れてないか?」

イザマーレに聞かれ、リリエルは嬉しそうに微笑む


「大丈夫ですよ(≧∇≦) 閣下、今回もとても素敵です♪

…そうだ、一度お傍を離れてもよろしいですか?

ダイヤ様のドレス姿、見てみたいので♪♪」



 

ワクワクしている事が隠し切れないリリエルの様子に

イザマーレも笑顔で応える

「やれやれ。構わないよ。行ってこい。迷子になるなよ?」


「は~い♪では、少しだけ失礼しますね♪」

笑顔で応じるリリエル。


近くで聞いていたウエスターレンが

更衣室の前まで送り届けてくれた。


にこにこ嬉しそうに、ダイヤの元に訪れたリリエル。


「ダイヤ様♪リリエルです。ドレス見せて~……Σ( ̄□ ̄lll)」


ダイヤを見た瞬間、驚きのあまり固まるリリエル。


「な…なな……な……っ……ワナワナ・・・・・」




 

リリエルに気づいて嬉しそうに振り向いたダイヤは

ウェディングドレスとは程遠い姿だった

場違いなヘビメタ好きがライブに行くような…

いや、ヘビメタ好きだって、もう少しマシな格好をするだろう


「リリエル様♪い、いや、だって、私だよ?

リリエル様みたいに純白のドレスなんざ

似合わないって!陛下も、こういう方が好みって言ってたし」


そう言ってケタケタ笑うダイヤ


王室御用達の衣装魔が、申し訳なさそうな顔して縮こまっている


ドカーーーーーーーン!!!!!


「?!」




 

突然の強い波動と凄まじい破壊音に驚き

イザマーレとウエスターレンが瞬時に駆けつける

「リリエル!どうした?!大丈夫か!!!」


「ダ……ダイヤ様の、バカーーーーーーーー!!!!!

これのどこがウェディングドレスなの!そして衣装魔!

言う事だけ聞いて、そのまま作るなんて、何考えてるの!!!」


「リリエル!落ち着け!」


イザマーレは、怒り狂っておさまらないリリエルを

抱きしめて落ち着かせる


ウエスターレンは破壊された更衣室の状態を調べ、やや呆れ顔だ


「…さすがは副大魔王妃だなあ(汗)

部屋ごと粉砕しやがったか……(笑)」


改めてダイヤの姿を確認した2魔


(……いくらなんでも、そりゃ、リリエルが怒るだろう……(笑))

(ひょっとして、ダンケルもか?やべぇ、笑いが止まらねえ……(笑))


「よしよし、リリエル。この部屋は、吾輩が何とかしてやるから

機嫌直せ。ダイヤのドレスが気に入らないなら、

吾輩専属の『地獄の仕立て屋』に頼み直すか?」


「ああ~、残念だが、もう時間があまりないだろう。

帰ったら可愛がってやるから、機嫌直せ。な?」


2魔が必死になだめ、リリエルはようやく落ち着いた


「…お部屋を壊しちゃってすみません…

閣下、直してくださいますか?」

恥ずかしそうに見上げるリリエルに、イザマーレが微笑み返す

「大丈夫だ。安心しろ。」

そう言って、すぐさま元の綺麗な更衣室に復元させた


「でも…このドレスだけは許せません!

時間もないなら…私が魔法で変えちゃいます!!!

え~いっ♪♪」




 

その途端、

純白のウェディングドレスに

ベリーショートの髪を綺麗に整え

薔薇をモチーフにした花冠で飾られた

美しい花嫁姿のダイヤが完成した。


「////////っ……いや、恥ずかしいからっ!…」

照れて真っ赤になるダイヤだが、

実は心の底で憧れていた純白のドレス姿に

胸がときめいてしまう


「ふふん♪o(>∇<)o やっぱり、こうじゃなくっちゃね♪♪」

予想以上に可愛らしいダイヤの姿に、

ようやく納得し、ご機嫌になるリリエル。


「…ほお?案外、似合ってるな。

当日もこれでいったらどうだ?ダイヤ」


「まあ、拒否権はなさそうだが(笑)」


恥ずかしそうに俯くダイヤだが、なんとか頷いた。



「…ところでリリエル。お前はどうするんだ?」

話がまとまり、ウエスターレンが尋ねる


「えっ?」

キョトンとするリリエル


「当日は晩餐会やら舞踏会やら、主賓として招かれる

お前とイザマーレも他魔事じゃないぞ。」


「あ、そうですよね…でも、ダイヤ様のお仕度のサポートを

して差し上げたいし、私は事務方として動けばいいかと思ってます♪

だからダイヤ様、安心してね!私がすぐそばにいますから♪」


「は、はい!嬉しい♪リリエル様、ありがとうございます」

ダイヤは笑顔でリリエルに抱きつく



(…そんな事が許されるとでも思うか!!!)

(ま、それならリリエルの衣装は我々が自由に決めさせて貰おう♪)


目配せし合い、たくらむ2魔…



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