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花の視線


イザマーレがリリエルと偽りの契約を交わし合う、少し前の事。


ウエスターレンの居ない日々に

疲弊したイザマーレの言霊が、暴走を始める

毎晩、人間の女を生け捕り、次々に抹殺し始めた頃

イザマーレを心配し、駆けつけたバサラと関係を持ってしまう


あまりのショックで、再び人間界に姿を隠したウエスターレン。


そんなウエスターレンを嘲笑うかのように

ダンケルからラジオ出演の命が下る。

相手は、かつての盟友、バサラだ。


久しぶりに、悪魔の姿で降臨したウエスターレンに

熱くなる信者たちのためにプエブロドラドツアーが開催され

その中に、リリエルがいた


かつて、彼女の髪を撫で、抱き寄せようとした時と変わらず

自分に向けた侮蔑の視線。


「イザマーレ閣下のことを忘れ、何をなさってるのですか。

誰よりも長官の事を待ちわびている閣下の孤独を、お忘れですか」


リリエルはその直前、切羽詰まった表情で、

「少しの間、髪から降りて待っていてくれ」と伝えたイザマーレの事が

気がかりだったのだ。


自分は、少しの油断で記憶を失い、イザマーレを傷つけた

だがお前は、記憶を失ったままなのに、愛し続けるのだな。


悔しさのあまり、ウエスターレンはリリエルを試した


「リリエル。お前の願いを聞くだけか?」

「…聞き入れてくださるなら、構いません。」


言った瞬間、後悔したウエスターレンに対し

視線をそらさず応じるリリエル。




 

引くに引けなくなったウエスターレンは、その瞬間

魔界まで連れて行き、リリエルを抱いた


「…お願いします。最高魔軍に戻ってください。

イザマーレ閣下が待ち焦がれています。

私たち信者も待ってますから…」


真剣な表情で訴えるリリエルの口唇を塞ぎ

肌を重ねるウエスターレン。


胸の奥にある熱い思いを隠して…






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