天気の良い日、プエブロドラドにベルデとラァードルが降臨した。
最近村に人気のレストランが出来たと聞き付け、
楽しみにしていたラァードルがベルデを誘い出したのだ。
2名を見るなり、一人の男性の信者が嬉しそうにやって来た。
「僕、メドレーとか大好きなんですよ!
ラァードルさんたちマジでコンビネーション抜群!
めちゃくちゃカッコいいですよね!閣下のMCなんかもっと短くして
そういうの、もっとやってくれませんか?」
ラァードルとベルデは苦笑いした
「…テクばかり追求したがるのは分かるけど、
しんどいのよ、分かる?ありがとね。君の気持ちは嬉しいけど、
俺たちはそんな事だけが目的で活動してるわけじゃないのよ。
聞いてほしいのはテクじゃない。音楽なんだよ。
それに、細かい演出も、寝る間を惜しんで
皆が楽しめるように考えているんだよ。
もっと広い心で楽しんでほしいな」
努めて明るくラァードルは言ったが…
男性の信者は笑って
「悪魔なんだから~楽勝でしょ?そんなの
閣下に遠慮しすぎじゃないですか?」
と言い退けたのだ。
さすがにラァードルは辟易していた
「…我々も君らに楽しんで貰いたいし、努力はするよ」
ベルデが言った途端にイザマーレとリリエルが姿を現した。
「聞き捨てられんな…お前は何様だ!」
男性信者に向かって怒鳴るイザマーレにそっと手を添え、
リリエルは男性の前に出る。
いつも微笑みを絶やさないリリエルが、
珍しくその男性を睨みつけていた。
「閣下。この者に何を申しても無駄な事。
構成員様のお気持ちも分からず、自分の事しか考えない
愚かな発言を言い放った事は許される事ではありません。
与えられる恩恵は当たり前。それに対する感謝も忘れ
文句ばかりを繰り返す。叱りつけるだけ無駄です。」
リリエルは厳しく言った。
「直ぐにつまみ出しなさい!
貴方がここに居ることは私が許しません。
このような人間のために、
閣下の手を煩わすことすら許せない!」
リリエルは悪魔師団に伝え男性信者は人間界に放り出された
口は災いの元…の出来事であった
プエブロドラドで怒り狂ったリリエルの様子を、
王室から見ていたダンケル。
「…イザマーレ。いろいろあって、
リリエルを散々怒らせていた私の事など
嫌いになってしまっただろうな…」
ダイヤのことでムキになりすぎ、自身も見失いかけていたが
ウエスターレンには及ばないまでも、
イザマーレ…お前の事を愛していることは変わらないのだが…
一瞬、憂いを感じたダンケル。
大魔王に見守られているとは知らず
リリエルを追いかけるイザマーレ。
「…吾輩の為に怒りすぎだぞ?リリエル」
「!……すみません、つい……」
イザマーレの優しい声に、
理性を取り戻したリリエルは恥ずかしそうに俯く。
そんなリリエルを髪に乗せ、微笑みかける。
「お前は吾輩のことになると、見境なくなるからな。
吾輩だって、お前が周りから嫌な女だと思われるのは癪だぞ?
だから、そういうことは吾輩に任せて、
お前はいつも笑ってここにいろ。良いな?」
「……はい」
ようやく笑顔になったリリエルを連れて、立ち去った……
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