数日後、イザマーレの髪に乗り、魔宮殿に訪れたリリエル。
引き合わせたダイヤは、リリエルを見たとたん
「リリエル様！」
ニコニコと笑い、嬉しそうにリリエルに抱きつく。
「…ダイヤ様。お久しぶりね。
ともかく、お元気そうで、安心しました」
リリエルは微笑んで、ダイヤを抱きしめる。
大好きなリリエルに抱きしめられ、
嬉しそうにダンケルを見つめるダイヤ。
「よしよし。可愛いぞ、ダイヤ。
私はすぐにお前のところに行くから。いつもの部屋で待っていろ」
「はい♪」
顔をほんのり赤らめ、満面の笑みでダイヤは立ち去った。
その場にいたイザマーレには見向きもしなかった。
「どうだ？リリエル。お前の愛するイザマーレの事など
ダイヤはすっかり忘れ、今では私の虜だ。」
気を良くしたダンケルは勝ち誇った顔で言い放った。
「ふっ…とんだ悪趣味ですこと」
冷静に酷評するリリエルに、イザマーレは留飲が下がる。
一方、言い返されたダンケルは苛立ちを隠せずにいた
「…何だと？」
「あれのどこが、愛なのですか？笑わせないでくださいませ。
どんな方法か知りませんが、あれではまるで操られたお人形ですわ。
どんなに心を支配できても、それは愛ではありません。」
「…ちっ…相変わらず、遠慮のないやつめ…」
ますます苛立つダンケル。
「よく頑張ったと、褒めて差し上げるべきなのでしょうか？
でも陛下。よく思い出してくださいませ。
ダイヤ様は本来、幼子のような純真な女性です。
陛下が愛していたダイヤ様は、そんな彼女だったのでは？
陛下は、今の彼女に本当に満足してらっしゃるのですか？」
「……」
それまでのやりとりを聞き続けていたイザマーレは
リリエルの髪を撫でる。
「陛下に対し、言いすぎだぞ？リリエル」
言葉とは裏腹に、穏やかに見つめていた。
「ふん！お前の暴言など、慣れっこだわ！
…私も少し、行き過ぎていたようだしな。
だが、ダイヤのことは間違いなく愛している！
それだけは本当だ！」
ムキになり言い返すダンケルに、リリエルは微笑んだ。
「安心しました。ダイヤ様をよろしくお願いしますね。
もっと素直に、愛して差し上げればよろしいかと思いますよ」
イザマーレはリリエルを髪に乗せ、立ち去ろうとしたが
「イザマーレ、少し待て。お前にだけ話がある。
リリエルは隣の部屋で少し待っていろ。
私を侮辱した事への罰だ。それくらい、いいだろう？」
「…？構いませんよ。では閣下。
リリエルはすぐお隣におりますので。」
素直に部屋から出ていくリリエル。
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