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誹謗三昧


ダイヤが村を巡回しているお昼時…

後ろからダイヤに声がかかる。

振り返るとウエスターレンとイザマーレが珍しく揃っていた


「お疲れ様です。珍しいですね?」

ダイヤは立ち止まって不思議そうに言ったが…

横に女性がニコニコして立っている


「…???」

女性に気が付き取り敢えず会釈をした


「今日からリリエルの代わりに

執務室の業務をしてもらう。アヤだ。」


ダイヤはまじまじとアヤを見る。

この魔界はモデル系の顔が多いのか?

スレンダーで可愛い顔をしている


「宜しくね!」

ニコニコして言ってきた。


「プエブロドラドの事はこいつに聞けばわかるから。」

ウエスターレンも笑顔でアヤに言っていた。


「は~い!分かりました!」


可愛く返事をしているアヤに違和感を覚えながら

ダイヤも愛想笑いをしていた。


「…こちらこそ…宜しくお願いします」


アヤに言いながらダイヤはイザマーレを見ていた。

イザマーレもダイヤの様子を伺っているのが分かる。

分かったからこそダイヤは何も考えずに

ひたすらニコニコしていた。


「では…私は巡回がありますので…」

3魔に頭を下げその場を後にした。



 

夜…


魔宮殿に戻り、1魔で昼の出来事を思い出していた。


リリエルの代理…


イザマーレとウエスターレンが、

わざわざ連れてきて紹介されたのには

何か裏があると考えていた。


紹介した時の何か伺う顔…

心を読み取られると分かったから

何も考えずに笑っていたが…。


リリエルの仕事をこなせる悪魔など居ない。

何かあるな…と思っていた。


取り敢えず、アヤの今後の様子をみて

判断しようと考えが纏まった時

ダンケルがダイヤの部屋に迎えに来た。


「なかなか来なかったから迎えに来たぞ♪」


ダンケルの微笑みにダイヤも微笑み返し…

そのまま抱き抱えられ、プライベートルームの扉を消され

翌朝まで可愛がられた



 

…………


しかし…アヤがプエブロドラドに来るようになってから、

村の空気が一変した


プエブロドラドで買い物していた女子信者

毎回来るようになったアヤと少し仲良くなったが

いつもリリエルの話題になる


「閣下って素敵よね♪」

アヤが嬉しそうに言った


「そりゃ素敵よ!誰でも憧れる存在よね♪

羨ましいよね!リリエル様、お妃様で」


目を輝かせて言った途端に、アヤの顔色が変わる


「そうかしら?」

目をつり上がらせているアヤ

「いつも閣下に何かと甘えてばかり…

すぐにおねだりして叶えてもらう。甘過ぎなんじゃないかしら?」



 

驚く女子信者に構わず悪口が止まらない

ニヤニヤしながら話し続ける


「それに長官にまで甘えて…

他の信者やダイヤさんにも厳しくしてるって話じゃない。

自分には甘く、他魔には厳しいって…考えられない。

いいわよね~妃だか何だか知らないけど。いい御身分だわ。

閣下もよく甘やかしてるわよね」


女子信者は唖然としながらも反論した


「…そんな事はないんじゃないかな?

焼きもちじゃないの?貴女の…」


「傍にいないから貴女には分からないのよ!

私が一番近くに居るから分かることなの!

大魔王后だってヘコヘコして、あの女の言うことを聞いている。

周りが甘やかし過ぎなのよ。だから調子に乗ってるのよ。

毎回時間があれば扉消して…何してんだか!」


アヤは言いながら自分の言葉にイラつき始めていた


「もう、止めなよ…この村の住民だって、ダイヤさんだって

リリエル様が甘やかされてるとは思ってないよ?」


女子信者は話を止めたが、アヤはなかなか収まらないようだった


他の住民にも…


「仕事をサボって私に仕事を丸投げ。

出来上がったら自分の手柄として盗っていく。

それで閣下に誉められる…やってられないわ!!」

等々…




 

有りもしないことを、村全体に広めていき

プエブロドラドの空気は殺伐とし始めていった


ダイヤが耳にする言葉…


『アヤって何なの?リリエル様の悪口ばかり言ってる。

それでいて偉そうな事言ってる』

『リリエル様は何故何も言わないの?』

『閣下が何故あいつをリリエル様の代理に?』

等々……


ダイヤに聞いてくる悪魔もいた。

そのつどダイヤは冷静に対応してその場を沈めていたが…


「ねぇ、リリエル様のような女王様気取りになってる悪魔と

よく平気に一緒に居れるわよね?

仕事が出来るからって偉そうにして。そう思わない?」


アヤがダイヤを掴まえて言ってきたのだ

さすがにぶち切れ、アヤに掴みかかる寸前で何とか抑えた


「…リリエル様に対して、一度でも女王様気取りなどと

考えた事などありませんから。それに…

リリエル様は仕事が出来る方だから。

何もかもが完璧だけど偉そうにはしてないですよ?リリエル様は」


ダイヤは冷静に言った。


アヤはそんなダイヤも気に入らないらしい。


「陛下の后にしてはリリエル様に弱いよね?

普通は貴女の方が魔界を統括する大魔王后なのに、

こんな所で働いて、陛下は何も言わないの?

それに副大魔王の妃にもヘコヘコしてバカなの?

貴女も変わってるわよね?」


アヤは薄ら笑いしながら言う。




 

「う~ん…リリエル様にヘコヘコはしてないけど

リリエル様は私にとって大切な方だから。

それに…私が好きでこの村で仕事しているし、

陛下に仕事の事で反対された事もないのよ?」


ダイヤは笑顔で答えた。


「貴女のリリエル様に対する侮辱は許す事は出来ない。

私に対する悪口ならまだしも…

これ以上この村で悪態を出さないでね。

迷惑だから…酷くなるようなら閣下に伝える。」


ダイヤは嗜めるように言ったが…


さらに他の信者にも、懲りずにアヤは色々言い触らしている。


それを聞いた信者は一様に不機嫌になり

何としてでもアヤを仕留めようと考える信者まで出てきていた…


ダイヤは必死に話をして、その場は落ち着かせていたが

次から次へとアヤが悪口を言い触らす為、

さらに殺伐とした空気は、止められずにいた




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