その日、ヴァルソラ平原で大規模な軍事演習が行われていた
軍事局直轄のバサラ軍はもちろん、
リリエルの魔力がやっと回復し、ようやく公務に復職したばかりの
副大魔王率いるイザマーレ軍も久しぶりに合同参加していた
数週間もの間、リリエルと過ごしてばかりだったとは思えないほどの
イザマーレの漲るオーラの強さに、現役のバサラ軍勢すら圧倒される
演習は、滞りなく順調な仕上がりだった
そろそろ各部隊を撤収させようかと
軍司令部からバサラが指示を出そうとした瞬間
ビリビリと波動が淀み、天使軍が襲いかかってきた
イザマーレの気高さに見惚れ、後は撤収作業だけと
油断していた前線部隊は、あっという間に混乱する
天使軍を引き連れたある者の存在に気づいたイザマーレは
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる
「久しぶりの挨拶にしては、舐めた真似をしてくれるな♪
ミカエルよ」
怒髪天にオーラを纏い、剣を振りかざすイザマーレ
「閣下!いくらなんでもちょっと待って!
まだ我々の体勢が整わないうちに……あっ!!!」
今にも飛び出して行きかねないイザマーレに
バサラは焦るが、止めることも出来ない
「ψ(`∇´)ψフハハ!! こんな楽しいことを待てるか!
ウエスターレンもいない今だからこそ、チャンスではないか♪」
颯爽と飛び出していくイザマーレ
一方、屋敷の情報局部屋
副大魔王に次ぐ激務と噂される、雑多な業務を淡々とこなしつつ
合同軍事演習に参加しているイザマーレの様子を、常にモニター越しに
チェックしつつ、紫煙を燻らせているのは、紅蓮の悪魔、ウエスターレン。
軍隊が詰めている平原から、異質な波動を感じた瞬間
天使軍を率いているのがミカエルであることに気づいた
「…フッ、御挨拶だな♪しょーがねーなー…いっちょ、あそんで…
っておい!イザマーレ!!!何してやがる!!!
俺が行くのを待ちやがれ!!!」
剣を振りかざし、飛び出して行くイザマーレの姿を見た瞬間
ウエスターレンは姿を消していた
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