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輝く結晶


次にリリエルがイザマーレの屋敷へ招かれた時、

ダイヤは自分から陛下の所にいる、と告げ、姿を消した。


(やはり、あいつは陛下を慕っているんだろう。それならそれで…)


「閣下。今日は私も、人間界に戻ります。」

「!…リリエル…何故だ!!」


思いもよらないリリエルの言葉に困惑するイザマーレ


「やはり、私だけというのは心苦しくて…

それなら…閣下。今日はダイヤ様のところへ行ってくださいますか?」


「リリエル…吾輩はもう、そんな気は…(汗)」

それでも躊躇するイザマーレに、リリエルはにっこり微笑む。



 

「私の我儘で、申し訳ありません。

でもどうか、ダイヤ様のお相手も、なさってくださいな。

時間の事なら、気になさらないで。

私は久しぶりに、人間界のイザム様の御屋敷で待ってますから

その代わり…」


…………

ダイヤはダンケルの元で甘えていたが

本心ではイザマーレやウエスターレンにまで、嫌われてしまったと悔やんでいた…

このままイザマーレの近くに行った所で、またダンケルの元に飛ばされる…

ダンケルの元に行くのは楽しいが…飛ばされる度に愕然とする…

最近は少しは慣れたが…気持ち良いものではない…


「…どうしたのだ?ダイヤ?」

ベットに座って何気に寂しい顔をしていたのをダンケルにばれた…

やはり敵わない…


「…え?何でもないですよ?陛下の傍に居られて嬉しいですよ~」

とは言ったものの…ひきつりながら微笑んだ


「…イザマーレか?もう諦めろ!彼奴には妻が居るんだ。つ、ま、が!

私が慰めてやるから、いつまでも居るが良い」

「…」

ダイヤは笑って誤魔化した。


その時、ノックの音が聞こえイザマーレが入ってきた

ダイヤは振り返って固まった…



「陛下。ダイヤを引き取りに来ました。来いダイヤ」

予想外に早く、イザマーレが迎えに来たのだ。


「……嫁はどうしたのだ?」

ダンケルはムッとして言った



 

「人間界に一時帰りましたよ」

澄ました顔でイザマーレは言った


「…ほぉ…そうか…」


「ダイヤ来い!任務だ!」



「…御意…すみません陛下…任務行ってきます…」


ダイヤが立ち上がった途端にダンケルは手を引っ張り抱きしめた

「!陛下!?」

「いつでも帰って来い…良いな?」

髪を撫でて微笑んだ…

「…困ります…陛下…」

ダイヤは焦って言ったが、イザマーレは表情ひとつ変えない

最悪だ…目が游いで固まってしまった


「…イザマーレ…ダイヤの扱い…いい加減にしろよ?

そろそろ私も黙ってないからな」

ダンケルは笑いもせず冷たく言った。


「申し訳ありませんが、陛下。

そいつの扱いは吾輩に任せていただきます。ダイヤ!行くぞ」

イザマーレは部屋を後にした

ダンケルはダイヤを抱きしめ送り出した




屋敷に連れ戻されたダイヤは、気持ちを切り替えた



「閣下、任務とは?リリエル様の護衛ですね?」

何も言わないイザマーレに聞いた



 

「急用ができて帰ったリリエルの代わりだ。お前を差し出せ」


「…はい?差し出す…て、何を?」

リリエルの護衛と思っていたダイヤは拍子抜けしてしまった。

首を傾げてるダイヤを抱き上げた


「!?」



そのままベッドに連れていかれた

「閣下!ちょっと!待ってください!差し出すって…この事??」


「陛下にさぞかし甘えていたのだろうな。

だが残念だな。お前の契約相手は吾輩だ。

吾輩に忠誠を誓った事を忘れ、逃げられると思ったか?」

イザマーレはダイヤにのし掛かった


「…忘れてなんかいませんよ…陛下の元に送ったのは閣下と長官ですよ?

『丁度良かった』だけだったのでは?」

ダイヤは目をそらし言った


「この状況で口答えをするとは、命知らずな奴め。益々お仕置きしないとな」


イザマーレの言葉にダイヤも違う意味で火が着いた

「…リリエル様の代わり?…お仕置き?…じゃあ受けてたちますよ…

散々陛下の元に送っといて…啼かせてみせれるものならね?

鳴いたら負けを認めますよ…閣下!

いつまでも私がグチグチ泣いとると思われても困ります!プライドが許せない」


語尾を強くして言った

完全にブチ切れると、ダイヤは泣くどころか戦闘体制に入る


「…ほぉ…強気じゃないか…どこまで耐えられるか見物だな…?」



 

イザマーレはふと、リリエルと似てるなと思っていた。

泣いてると思いきや、時に出すプライドの高さ。芯は強い。

やはり、ダイヤの中にも、リリエルを感じる……


ダンケルの元では、どんなに甘えていても心で泣き、

言葉では逆らいながら、イザマーレに愛されたがるダイヤ。


(心を読むまでもなく、丸分かりだぞ、ダイヤ。

頑固で意地っ張りなのが玉にキズだがな。

そんなお前に意趣返しをしてるだけだ、とは気付かぬだろうがな…)



実は、イザマーレがダイヤに優しくなれないもう一つの理由がある。

浄化させたとはいえ、妻を苦しめ続けた元凶に他ならないのだ。


だが、リリエルを苦しめたゼウスに対し、積年の恨みを晴らす絶好の機会。

逃すものか。覚悟しろ…


イザマーレは、暴れるダイヤの手を魔力で縛り上げた

「!!!何をするの!閣下!」

更に暴れて魔力を解こうとしたが無理だった…


「簡単に魔力が解けると思うな。覚悟しろ、ダイヤ」


「…望むところよ!」


目に涙を溜め見つめるダイヤに、イザマーレは優しく口唇を深く重ねた


「…ダイヤ…意地を張るな。全て委ねろ…」


イザマーレの微笑みに戸惑いながら、ゆっくりと愛撫され幾度も身体を重ねた…

既にダイヤが鳴いていた

「…閣下…お慕いして…い…ます」

「うん?変だな…プライドが許さないとか言ってなかったか?」

わざと耳元で囁く



 

簡単に音を上げるダイヤを許さず、飴と鞭を絶妙なバランスで使い分け

百戦錬磨の超絶技巧を駆使し、攻め立て続ける


(おのれゼウス!可愛いリリエルを

怯えさせることしかできなかった下手くそ野郎め、

さまあみろ!独りよがりの幼稚なテクで奪いきれると思ったか!

女を喜ばせる方法も知らぬゼウスなど、

吾輩の足元にも及ばんわ!!!)


「も…もう…お許しくださいっ、閣下…」

ついに崩れ落ち、負けを認めるダイヤ


「ふん!ゼウスだろうがダイヤだろうが

吾輩に逆らうなど10万年早い!分かったか!!!」


最強の大悪魔に、骨抜きにされ、愛されるダイヤ……



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