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黒い手紙


何が何だか分からないまま魔宮殿に戻されたダイヤは

少し不機嫌になっていた。

仕事に対する責任が削がれたようで納得がいかなかった。

ダンケルはプライベートルームに来いと言って姿を消していた。


仕事着から普段着に着替えダンケルの元へ行った。

ダンケルはベットに座り考え事をしていた


「…来ましたが…(怒)まだ仕事有るのに

中途半端にするのは…私的には…(怒)」


ダンケルがウエスターレンに我儘言って

ダイヤを帰らせたと思い込んでいたのだ


「…おいで…ダイヤ」



声のトーンがいつもと違うのに気が付き、ダンケルの横に座った


「…ダイヤ…任務だ」

ダンケルはため息混じりに言った


「…え?任務???」

「…イザマーレからだ。」


真っ黒い封書をダイヤに渡した。

宛名もない


「…?」


ダイヤは中の書類に目を通して愕然としていた

「…な…なに…これ?…何なの!これは!」

震えて怒鳴っていた。



 

『大魔王后 ダイヤ殿


イザマーレ族の掟により


副大魔王妃リリエルを


数万年一度の生け贄に処す


よって見送り魔とし


大魔王后ダイヤ殿に


イザマーレ族の長イザマーレの厳命により


見送り魔と任命する』


…最後にイザマーレのサインまで書かれていた…




 

「陛下!どう言う事ですか!?閣下の悪ふざけ?

リリエル様が生け贄にって何!?

見送り魔…私って!?何なの!」

泣きながらダンケルに問い詰めて言った


「…私がお前の生き血を飲んだように

イザマーレもその時期に入ったのだ」

ダンケルは俯いて言った


「いやいや、生け贄にリリエル様って何考えてんの!閣下は!」

書類にポタポタ涙が落ちる…


「…イザマーレ族は魔力も偉大だ

理性を無くせば誰も止められない。

既に理性も僅かに残っている位だろう」


「リリエル様に会ってくる!納得いかない!」


「…無駄だ…もう準備に入っている。それに…」

固まってダンケルの顔を見ているダイヤを抱きしめた

「…見送り魔はお前だけではない…ウエスターレンも…だ…」


「!!!!どうして!長官まで!」

大泣きし始め叫んでいた…


ダイヤが落ち着くまでひたすら抱きしめてダンケルは再び話始めた


「…ダイヤ、リリエルも望んで準備に入っている。イザマーレの為に…

リリエルが覚悟を決めて望む事を止めたらあいつを悲しませるだけだ…。

リリエルが好きなのだろう?あいつの思いを見届けてやれ。」


「………」


愕然として声すら出てこなかった


「…見送り魔としてお前も準備をしなければならない。

いつまでも泣いているな…」


ダンケルは微笑みダイヤを見つめた


リリエルが生け贄になる日まで、

ダンケルにダイヤは見送り魔としての教え、

手順などをとことん頭に叩き込ませていた



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