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epilogue


イザマーレがリリエルとプライベートルームの扉を消して

一週間が過ぎた頃、情報局管轄の情報誌が出回った


表紙を飾るのは、瀕死状態のリリエルを抱き上げ、

高らかに歌い上げる夢幻月詠。

勝利の決め手となった『ダリア』と叫ぶイザマーレの不敵な表情など

明らかに、誰がリークしたのか分かる事柄が詳細に書かれていた


それにより、プエブロドラドに居るLily‘sも

ようやく事件の概要を知る事になる


「…あら?ムーラン様、おはよう~。どうしたの?」

セルダと朝のお散歩を済ませて帰って来たプルーニャが笑顔で声をかける


「ハルミちゃんとのお散歩帰り?おかえり~

ところでさ、これさっき、コンビニで買って来たんだけど……

プルーニャ様、ご存知だった?」

ムーランに言われて、雑誌を覗き込むプルーニャ


「あ、それな!!私も心配になって、さっき代官に教えてもらったんよ

最近、プエブロドラドでリリエル様をお見かけしないと思ってたら…

まさかそんな事になってたなんてね💦」


「…大丈夫かな、お見舞いに行きたいけど…でもこの記事を見ると

まだお部屋から出てこれないみたいだし…」


「そうやね。私も代官に聞いた話で、よく分からない事があるんよ

でも閣下はもちろん、リリエル様のお傍にいるだろうし…そうだ!

長官なら、詳しくご存知のはずや!!ムーラン様、ご一緒しましょ!!」


リリエルとイザマーレの事を心配しているムーランを連れて、

警備室に向かうプルーニャ


ちょうど警備室の前で、中の様子を伺っている人物と出くわす



 

「あら…?貴女は…」


「…あ…こんにちは。お久しぶりです…///////」

礼儀正しくお辞儀をして挨拶してくる女性の美しさに

思わずポ~っとするムーランとプルーニャ


「あ!森の飛行船で一緒に旅した方よね?どうなさったの…?」


「あ、あの…実はさっき、この雑誌を読みまして…

リリエル様の事が心配で、長官にご様子を聞かせてもらおうかと…」

女性は、ムーランと同じ雑誌を手にしていた


「え…貴女、やっぱりLily‘s?」

「あ、はい///リリアと申します。よろしくお願いします♪」


にこやかに笑うリリアの愛らしさに、またもや見とれていると

警備室の中からダイヤが姿を見せた


「あら?プルーニャ様、こんにちは。残りの2名様も…

どうぞ中に入って?」


「ダイヤ様、お邪魔してすみません。

ウエスターレン長官はいらっしゃいますか?」


単刀直入に尋ねる美女に、ダイヤも一瞬たじろぐ


「え、ええ…今日はこちらにいらしてます。どうぞ…」


警備室に入って来た美女を見た瞬間、

八重歯を見せて笑うウエスターレン


「なんだ、誰かと思ったらリリアじゃないか。久しぶりだな♪」


「お久しぶりです。その節は、お世話になりました…///」


「イザマーレにも聞いてるぞ?車デートは楽しかったか?」


「///はい…本当にありがとうございました」


照れたように真っ赤になって笑うリリア



 

ウエスターレンとのやり取りに驚いたダイヤが思わず尋ねる


「長官…?彼女の事、お詳しいのですか?」


「ん?ああ、そうだな。お前がリリエルと出会うより先に

俺たちは知り合っていたな。人間界の屋敷で会ったのが、最初だよな?」


「///はい…まさか、目覚めたら

閣下のベッドに寝かされていたなんて…

今でも、思い出す度、穴があったら入りたくなりますよ💦」


「…お前くらいじゃないか?イザマーレが、

リリエルのおねだりより先に手を貸した女なんて。

ダイヤ、お前にとっては一番の強敵かもな♪

何しろ、イザマーレ自らが率先して動いたんだぞ?(笑)」


「…!!」

わざとらしく強調するウエスターレンの言葉に衝撃を受け、

俯くダイヤ


「ダイヤ様の事も、リリエル様からよく伺っておりますよ♪

それより長官!リリエル様は…ご無事なんでしょうか??」


涼し気な表情でダイヤに微笑みながら、

すぐにエースに向き合うリリア


「そ、そうそう!私らも、その事でお邪魔したんです…」

あまりの事に目を白黒させていたプルーニャとムーランも

口々に質問をぶつける


「リリエルなら大丈夫だ。もう目も覚めて、元気にしているぞ

魔力の回復には、まだ時間がかかりそうだが♪」

ニヤニヤしながら告げるウエスターレン


「あの…この雑誌に書いてあった『ダリア』の事なんですが

代官にも聞いたんです。この時、2魔様は

しりとりゲームなさってたとか…?」


「ああ、その通りだ(笑)理由は2つ。

自然界の力を借りる為に、我々の仕組んだ事と悟られずに

やり遂げる必要があったという事。そして…」




 

ゆっくりと紫煙を燻らせるウエスターレン


「リリエルに恐怖の時間を与えず、笑顔で受け入れさせるためにな」


「…!!!」


真相が分かり、言葉を失う3名…


同じように真剣な表情で聞いていたリリアは、

改めてウエスターレンに懇願する


「リリエル様と閣下だから成し得た事ですね。

あの2魔様に、私もどれだけ救われたか…

長官。私は人間ですが、リリエル様と閣下の

お役に立てる存在になりたい…強くそう思います。

…これからもリリエル様の近くで見守らせてください!

お願いします!!」


「それは俺に聞くまでもない。あいつらにとって

とっくにお前はそんな存在だろ?俺からも頼みたい。

イザマーレとリリエルを、これからもよろしくな♪」


「///はい♪ダイヤ様、私とも是非、仲良くしてくださいね。

よろしくお願いします♪」


「…!!…はい、こちらこそ♪」

引きつった笑顔で応じるダイヤを

ニヤニヤ見ているウエスターレンだった



Fin.



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