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Lily's


「あら?リリア様、久しぶりだね。どうしたの?」


屋敷のリリエルの元に、1名で訪れたリリア。


「はい…あの……」

「? まあ、中に入って?どうぞー」


リリエルは微笑みながら、お茶を淹れる。


「リリエル様なら、聞いてもらえるんじゃないかと思って……」

「ん?もちろんだよ。何でも言って?」


「ありがとうございます…リリエル様は、悪魔になられたんですよね?」


「? うん。そうだよ」


「あの頃、人間界にいた私たちは驚きました。あまりにも急だったから…

だって、リリエル様は人間界でもお幸せだったじゃないですか。

急に会えなくなってしまった、大切な方々がいたんじゃないですか?」


「家族の事?…そうね、だけどしばらくは

人間のフリしながら、生活を続けさせて貰えたの。

せめて、娘たちがきちんと独立できるまではって」


「! そうだったんですね。閣下、さすが!お優しいですね……」


「リリア様?」


「…私も、急だったんです。その…やっぱり、お酒の飲みすぎで……」


「!」


「プエブロドラドに入れたことは、とても嬉しいです

だけど…っ…結局、仲直りもできず、

ありがとうも言えないまま………」




 

リリアは泣き始めた


「閣下にお約束していたのに…未だに果たせないままで…

だから、お会いすることもできなくて………」



「なんだ、それで一度も姿を見せなかったのか?」


「!………」


「ただいま、リリエル」

「閣下…、おかえりなさいませ」

突然姿を現したイザマーレに微笑みかけるリリエル。


「///あ…じゃ、すみません、そろそろ…リリエル様、

今日は突然すみませんでした。失礼させていただきます」


「え? リリア様、良かったらお食事も…如何?」


「いえいえ(汗)とんでもないです!

…でも、良かったらまた、会っていただけますでしょうか?」


「もちろんですよ♪…じゃ、閣下…あの……」


「ああ。送ってやるぞ。リリエル、お前はどうする?一緒に来るか?」

「…いえ、私はここでお待ちしています。閣下、お願いしますね♪」


イザマーレに微笑みかけ、リリエルは自分の部屋に入っていった。



「…久しぶりにドライブするか?リリア。」

「え!…魔界で??」

驚いて聞き返すリリア。


「もちろん魔界だから、車というわけにはいかないが」



 

「!!//////」


イザマーレはリリアを連れ出した。

屋敷の裏庭にあったのは、豪華な馬車……。


「そんなに驚くな。足元気をつけろよ。」

リリアの手を取り、エスコートしながら隣に座るイザマーレ。


「………」

緊張して俯いた顔を上げられないリリア。


「たしかに、お前の夫婦問題を解決させるまではと

約束してたからな。だが、お前のその涙は旦那を愛した証だろ?

上手く伝えられたかは分からないが。」


「閣下………」


「よくリリエルに相談したな。あの時に比べたら格段の進歩だ。」

「…はい………」

ようやく笑顔になるリリア。


「今日はありがとうございました、閣下。」

家の前で丁寧にお辞儀をするリリア。


「逆だ、リリア。吾輩が礼を言わせてもらう。ありがとな。」

「?」

「リリエルに人間界の家族の話をしてやっただろ?

ずっと気にかけていたんだが…

今はあいつを1魔にさせてやりたくてな。」


「…閣下……」


「お前も、人間界に行きたい時は我慢するな。

いつでも望みをかなえてやる。その代わり、今は少し付き合え…」


イザマーレはリリアの部屋で、短い時間を過ごした……



 

その頃、リリエルは部屋で一魔、

かつての家族の写真を眺めていた………


「…忘れてない。愛してるわ。今も……」


人間界の生活だけは、決して壊すなと

イザマーレに固く言われ続けていたリリエル。


確かにリリエルは愛していた。

娘たちも、そして、長年寄り添い続けた相手も……


「でも、大丈夫。いつこんな事があってもいいように

準備だけは済ませておいたから……

そしてあなたたちは分かってくれるはず。

何よりも悪魔が大好きだった、私の事を……

そして今度は私が、必ずあなた達を守るから……」




 

イザマーレがリリアの元で過ごしている頃、

ムーランの元にプルーニャが訪れた。


人間界にいる頃から親しくしていた2名は

プエブロドラドに来てからも、時折、お互いの家に行き来し、

悪魔談義に花を咲かせていた


「こんにちはー。お邪魔します」

「どうぞ~…あ、ねえねえ♪さっきさあ…」


ムーランは先程、リリアの部屋の前に豪華な馬車が来て

彼女と一緒に部屋に入っていくイザマーレの姿を目撃していた。

プルーニャに興奮気味に話して聞かせる


「……えっ…えええええ??(≧∇≦)」

「……(〃▽〃)ポッ」


「いいなぁ、リリア様。閣下と………」


「リリエル様、お妃なのに、大盤振る舞いすぎだよね(笑)

でも…やっぱり閣下、カッコいいなあ…」


「…いいなぁ………」


「プルーニャ様?」


プルーニャの呟きに、首を傾げるムーラン


「そうだ、今日これからリリエル様のお屋敷に行くんだけど、

良かったら、一緒に行かない?」


「えっいいの?急に行って失礼じゃないかな(汗)」


「…実は、私も一人で行くのが怖くて(苦笑)

プルーニャ様がいてくれたら嬉しい。行こう♪」




 

2名は連れ立って、イザマーレの屋敷に向かった


「いらっしゃい。ムーラン様、それにプルーニャ様♪

久しぶりだね。嬉しい!!お二人とも、中に入って~♪」


リリエルは大喜びで二人を迎え、

お互いの近況話に花を咲かせていた


「…皆様、羨ましいです。

リリエル様は、お妃ですから当然ですが

他の方も、時には優しくしてもらえたり、

髪に乗せてもらえたり……」


「プルーニャ様?代官と、何かあった?」


「あ、いえ(汗) 実は、プエブロドラドでも

時々ハルミちゃんのお散歩に付き合わせて貰ってるんですが……」


「そうなんだ。可愛いよね、ハルミちゃん」


「代官は、とてもカッコイイし、人気もあるのに

どなたも髪に乗せたりしませんよね……」


「………」


「なんだ、あいつまだそんな事でモタモタしてんのか」

いきなり姿を現したウエスターレン。


「かっこいい男だけどな。照れ屋だからな」

続いてイザマーレも帰ってきた。


「!!」


「リリエル、ただいま」

「おかえりなさいませ♪閣下」




 

「セルダのやつ、好きな奴なら遠慮なく

髪に乗せてやればいいのにな」

イザマーレは言う


……

数日後、いつものようにハルミちゃんを散歩させるセルダの元に

プルーニャが近づく。


「…みんな、俺のことはどちらかと言うと怖がってるだろ?

俺、こんな性格だし…お前も一向に髪に乗りたいとか、

言ってこないじゃんね」


「…!そ、そんな事ないです!御髪に乗らせてほしい、なんて

言ったら失礼なんじゃないかって……」


「…そうなの?なんだ。言ってくれればいいのに。

俺、不器用じゃんね。言ってくれなきゃ分からないよ」


セルダは優しく微笑み、プルーニャにキスをした


それから、ハルミちゃん散歩タイムは、

プルーニャを髪に乗せるようになったセルダ…









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prologue

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