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あてのない日々


「流石だな。でもやっぱり、

お前も少しは寂しいんじゃないか?」


「…そうですね。でもやはり私は、全ての人の悲しみを幸せに変えてくださる

素敵な閣下が好きなのです。いつもお願いばかりで、申し訳ないですけど。」


「…お前にとって最高の王子様という事か。確かにな」


「それにこの方法なら、結局のところ

ダイヤ様は私の傍を離れずにいてくださいます。

たとえどんなに、憎い相手でも」



「リリエル、それが一番のねらいか?」


にっこり微笑むリリエル

「(´∀`*)ウフフ…ダイヤ様は私の一番のお気に入りです。

幼い頃のイザマーレ様に、とてもよく似てらっしゃいますよね。

ダイヤ様のお傍にいると、閣下が近くにいてくださるような気がして……

人間界にいる間も閣下のお傍にいたい私の我儘です」


「おいまさか、お前のおねだりって……」


「知りたいですか?

ダイヤ様を、私にお預けくださいと言いました。

私が閣下にお会いできる時に、必ずお返ししますから、と。

人間界にいる間、閣下にお会い出来ないのが寂しいので………

あの時からずっと、閣下は私のお願いを叶えてくださっています。

ダイヤ様には内緒ですよ♪」


「…やれやれ。おっと、そろそろお出迎えの時間かな?」

「…そうですね。では、お支度させていただきますね」



 

「了解!またな。………今度は一週間後か?」


「言われてみれば、そうでしたね。気が付きませんでした。

人間界にいれば、時間の制約がなくなるので…」


「もう一方は、毎度きっちり一時間。魔界では僅か5分程度か。」


「…それは多分、ウエスターレン長官。貴方がここにいるからです。

私がイザム様の御屋敷で待機させていただく為に

閣下が一番愛してらっしゃる長官をお借りしてしまって

申し訳ありません」


「…なるほどな。抜け目のない奴め」

「…そう言われますと困るのですが…」



「誤魔化すな。あいつは余程の事がない限り、

俺とお前が近くにいることを最も気にするからな

イザマーレの事を知り尽くしたお前らしい作戦だな」


「いったい何を言われているのか…

あ、すみません、長官。閣下がお戻りのようなので」

静かに席を立つリリエル。


奥の部屋に入ったリリエルを、優しく抱きしめるイザマーレ。

「ただいま、リリエル。待たせたな………」

「お帰りなさいませ、閣下。お勤めご苦労様です………」

リリエルもにこやかに見つめ返す。



毎度のやり取りを見守るウエスターレン。

「やれやれ。つまりあれだろ?

結局イザマーレも、リリエルとのおねだりごっこが好きってことだよな…」



 

…すべてを逆にして差し上げたのです。

いつもお願いばかりするのも心苦しいので…


あの時、閣下のご希望をお尋ねしたら、

「時間の制約なく、夫婦のように過ごしたい」と……




…………

躊躇うイザマーレの背中を押しながら、リリエルが問いかける


「その代わり、閣下、なにかご希望はありますか?

いつもお願いばかりするのも心苦しいので…

私にできる事なら良いのですが…」


それならば、遠慮なく願い出よう


「時間の制約なく、心ゆくまで愛し合いたい。吾輩とお前の気が済むまで。

そしておねだりと報酬という契約めいたものではなく、夫婦のように過ごしたい

リリエルでなければ埋められないものだ。良いな?」


「////////はい……」


「では、行ってくるぞ。リリエル。

少しの間、人間界の屋敷で待っていろ。

すぐに戻るから。良いな?」


「はい。行ってらっしゃいませ。お待ちしています……」


嬉しそうに微笑むリリエルを抱きしめ、口唇を交わし合うイザマーレ



どちらでも良いのです。リリエルの本当の願いでもあるのですから…


fin


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